共同通信社による全国電話世論調査で鳩山内閣の支持率は63・7%と、約1カ月前の前回調査(61・8%)からほぼ横ばいに踏みとどまった。しかし、鳩山由紀夫首相の偽装献金問題は大きなマイナス要因となっており、今後の対応が政権浮沈の鍵を握ることになりそうだ。
調査は11月28、29両日に実施、1026人の有権者から回答を得た。評価が高かったのは2010年度予算概算要求の無駄を洗い出すため政府の行政刷新会議が導入した事業仕分けだ。「評価する」が77・3%に上り、半数以上が「予算編成過程の公開」をその理由に挙げた。
課題はいくつか残ったとはいえ、予算編成過程が初めて公にされ、透明化された意義は大きい。仕分け人と省庁担当者の議論を通し、いかにも必要性が高いと思われる名称の事業や組織の中に潜む無駄や矛盾が洗い出されることが国民に政権交代を実感させたのだろう。
半面、批判が集まったのが自身の資金管理団体の政治資金収支報告書虚偽記載問題をめぐる鳩山首相の対応だ。「会計責任者に任せていたので細部は分からない。検察に委ねる」などとする説明に74・9%が「納得できない」と回答した。前回調査より6・9ポイント増え、新しい政治を掲げながら「政治とカネ」という旧態依然とした問題にさらされる首相への失望感と十分な説明が聞かれないことへの不満の高まりと言えよう。
事業仕分けなど無駄を排除する取り組みで挙げた得点を帳消しにした形だ。ただ、首相の今後の対応については「政治責任をとって辞任すべきだ」は11・4%にとどまり、「説明責任を尽くして改善策を講じた上で続投すべきだ」が75・5%を占めた。せっかく政権交代で見えつつある新たな政治の流れを早々に頓挫させたくないとの思いがうかがえる。首相は30日の参院本会議で「検察の全容解明の暁には、結果を踏まえ、国民に説明すべきと考える」と述べたが、国民の思いに応える早急な対応を望みたい。
一応高い水準に踏みとどまった支持率だが楽観はできない。民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げた高速道路無料化には反対論が多く、子ども手当などでも意見が分かれる中で、どう予算に具体化できるか。沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題など難題も山積する。対応を誤れば一気に信頼を損ないかねない。鳩山首相にとって自らの問題はもちろん、政策に負う説明責任の重さが一段と増す。