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ザ・論点
吉岡 利固 きょう1日付の紙面制作から、弊社の新製作センター(鳥取市五反田町)で印刷鮮度を高めた新高速輪転機が稼働を始めました。 わたしは現場に立ち、輪転機の三菱重工業、建屋の熊谷組をはじめとする多くの設計・施工に携わった皆さんの「よい物を作りたい」という熱い魂を強く感じました。この輪転機は鳥取県民を中心に、兵庫県西北部と島根県出雲地域の皆さんの長く温かいご支持があって初めて実現したたまものです。これからは地域発展のために十分活用して、お返しをしなければなりません。今や弊社は関西の中心地・大阪にも拠点を置き、日刊と週刊の大阪日日新聞を発行しています。高速道路網の完成で、山陰と関西を結ぶ唯一のメディアとして、この輪転機を使って地域のために貢献していく所存です。本当にありがとうございました。 もっとやることあるはず東京地検特捜部による小沢一郎民主党代表(当時)の秘書を政治資金規正法違反で逮捕したことから始まった捜査は既に10カ月に及ぼうとしている。代わって代表に就任した鳩山由紀夫氏の“故人献金問題”が発覚したのも総選挙前の6月。8月末総選挙では民主党が絶対多数の新政権を樹立、自民党は野に下った。これは両氏の疑惑に対し、有権者は「問題としない」という民意を示した結果だ。本来、地検特捜の役割は、腐敗した与党政治家の利権に切り込み、国民の抱く不公平感を取り除くのが仕事のはずだ。両氏とも野党時代の過去の事件だから、小沢氏へのゼネコンからの献金は職務権限の上からは贈収賄は成立しない。むしろ企業が献金したくなる大物政治家は野党党首であっても小沢氏だけだったのだ。鳩山氏の場合は、もっとはっきりしている。要は華麗なる“鳩山ファミリー”の金が政治資金になったのだ。私財をなげうって政治活動するのは本来ほめられこそすれ、特定の団体への利益供与のためにこっそり金をもらったケースとは訳が違う。自民党が引き起こしたロッキードやリクルート、佐川急便などの事件とは根本的に中身が異なる。 なぜ特捜が、総選挙後もこの問題を延々と捜査し続けるのかわたしには理解できない。こんな特捜ならいらない。税金の無駄遣いで、それこそ仕分けすればいい。その捜査情報が既得権益を守ろうとする大手マスコミに、リークされていびつに報じられ世論操作を誘ってスキャンダル化、国会での反転攻勢を狙う自民党を元気づけていることだけは間違いない。 今の日本には両氏は絶対必要な政治家だ。特に小沢氏は一貫して政界再編の主役であり続けた最後の大物でもある。こんな不毛な捜査をしている間に日本を取り巻く景気はどんどん悪くなっている。検察にそこまでの覚悟と証拠があるのなら、早くはっきりと示し幕引きしてほしい。 円高株安で日本失速円は先週だけで一気に4円も上がって一時84円台に突入。欧米で回復基調の株価も日本では再び下落を始めた。昨秋のリーマンショックに端を発した米国発の世界同時不況はようやく一段落したが、オバマ政権が輸出重視でドル安を容認しているため円高が加速。そこへドバイショックで投資していたユーロが下がり、行き場を失った資金が一気に円に流れ込んだ格好だ。経済実態が上り調子の時はそれもよいが、デフレ宣言下での同時株安ではとても持ちこたえられない。藤井裕久財務相は「静観する」発言より前に、素早く円高を予測して手を打つのが仕事。一転して「適切な措置を取る」と市場介入を示唆し、慌てて官邸で協議するのでは遅い。今こそ政府は株を買い支え、悪い流れを変えないと大変なことになる。政府が株を買えば、外資も日本株買いに入る。そうなると悪循環は断ち切れる。 仕分けより特別会計民主党の政治主導による仕分け作業が話題になった。必死にカットしたのに、総額は1兆7000億円と大した額にはならない。来年の税収不足は約50兆円に達すると見られるから、焼け石に水だ。わたしが以前から言い続けているように、約200兆円におよぶ特別会計に手を付けないとだめだ。いったんバサッと切れば、ほとんどの特別会計は自立してやっていける。そこで「どうしても」という分にだけ補助を出せばいい。一般会計の仕分けは、ある程度各省庁官僚は織り込み済みで作業しているから、民主党が主導権を持つためにはこうした思い切った発想の転換が必要だ。民主党政権はまじめによくやっているから、国民の支持は依然として高い。たとえ一生懸命でも自民党政権の後始末ばかりやっていては意味はない。マニフェストは大事だが政権を取った以上は、優先順位を変える決断も時には必要だ。 (新日本海新聞社 社主) << 「ザ・論点」トップへ |
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