ケータイ&ネット業界 闇ナベ狂想曲第二楽章 - EMA、iモードブラウザ2.0、お名前.comの脅威のDNS、そしてジェダイ現る

ご注意: 去年7月の第一楽章をまだお読みで無い方は、まずはそちらからお読み下さい。

A long time ago in a galaxy far, far away....

  1. 有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)が本格稼動を開始。2008年8月末、魔法のiらんどやgreeなどが最初の「健全な携帯サイト」認定を受ける。 2009年11月ごろまでにおおよそ30から40個の間くらいのサイトが認定されたらしいが、それって多いの少ないの?
  2. 日本の憂鬱なインターネット市場など目もくれずどこか遠いところに行ってしまっていた江島氏、2009年5月に夢破れ途方にくれるの図。「少数精鋭を突き詰めると、究極的には1人になるということでしょう。 」って、greeもmixiも最初は完全に一人でサイト作ってたのは広く知られた事実ではあるが、海の向こうでまずそこを再発見。
  3. で、iPhoneゲームで一発当てたバンカクという会社にjoinとのこと。図らずもケータイ業界(?)入り。再起を目指してGoodLuckです。80年代に流行ったTRONという映画の見せ場シーンをもとにしたゲームは米国ではスタンダードらしい
  4. 2009年5月。JavaScriptもFlashも動くんだぜ!もちろんCookieもバッチリさ!と、ドコモからiモードブラウザ2.0が華々しくデビュー。しかし最初の搭載機種で発売数日後にいきなり販売停止。販売済み端末についてもソフト更新機能を通じてJavasScript機能を停止。当初は「1カ月程度で修正できる見込み」とアナウンスされていたが、結果的に直ったのが11月末静かな大トラブルは結果として修正に5ヶ月を要したことになる。
  5. とにかく、この秋のいくつかのドコモからのリリースにおいて何がどう修正されたのか?をつぶさに調べた識者各位により、「もしかして、個体識別番号(iモードIDやutn番号)がらみじゃね?JavaScript通して識別番号偽装できちゃうことが発覚して、それだと課金処理とか認証処理とかやってるサイトが困っちゃうから、あわてふためいたドコモが緊急措置をとったんじゃね?」という、Web業界のプログラマーの多くがうすうす予想していた内容で大筋ビンゴだったことが判明。 ちなみに、ドコモはiモードIDの生成方法を見直すべきだ « mpw.jp管理人のBlogにある問題点と根本的修正方法は筆者もまったく同意するところである。
  6. しかしドコモとしてももう社会的な供給責任が発生しちゃってる状況だからiモードIDは辞められない。去年の段階で「もはや止められない段階にきているので、これはもうだめかもわからんね。」と高木氏がサジを投げたのはつまりこういう理由。 ちなみに、iモードIDでもutnでもなんでもいいが、EMAはその「コミュニティサイト運用管理体制認定基準」に「会員及び非会員投稿者に対し、携帯端末の個体識別番号等を入手していること。」を明記してしまっている。ますます止められない。EMAの存在自体が無意味だろうがはよ潰れろとかいう話は別として。
  7. ときを同じくして佐々木俊尚氏も暴露トーク。

    アゴラ : 日本ITの国際競争力 (2009/11)

    NTTドコモを退職して今はドワンゴやGREEの役員などを務めている夏野剛氏は、前にこう話していたことがある。「ドコモの役員たちはだれひとりとして自分たちが若者向けに提供しているiモードのアプリケーションを使いこなしてなんかいない。そういう人たちが役員会で『このサービスをいつ投入するか』といった決定をしているんだから、うまくいくわけがない」
  8. つまり、「ドコモではお偉いさんが自分で興味も無ければ中身を知りもしない食材を脈絡無く闇ナベにぶち込んでゆくので、後で現場がそれを食べて自爆してオェってなってアタマにきたので客を待たせたまま地雷探知機かついで5ヶ月ほど闇鍋の中を旅しておりました」の図。
  9. 一方、広告業界では空前のページビュー数水増しブーム。闇ナベの具としてはスタンダードだけど。
  10. グリー、ドル箱の釣りゲーをパクッたモバゲーを提訴(2009/9)。 往年の東尾をほうふつとさせる見事なビンボール。
  11. もう一方の「健全サイト」の状況→mixi エロ漫画 広告 - Google 検索
  12. ついでに「ニコニコ動画モバイル」も「健全サイト」認定済み(2009/6)なわけですが、次のような状況 ちなみにニコニコ事業本部事業推進部部長様がEMAの理事の一人だったりする。 see also: 携帯サイトの“番人”「EMA」の中立性は? : サイバー護身術 : セキュリティー : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞) (2009/9)
  13. そんななか、業界内での利害関係が少なそうなお手ごろで小さめのサイトがひとつ生け贄にささげられ、EMA健全サイト認定取り消し第一号が発生の巻→EMAより。|市ヶ谷で働く社長のブログ(2009/9)。 簡単に言うと、遠くから目立たないようつつましく闇ナベつついてただけの小サイトがハズレ具材を掴まされ、味わったのがいったい何なのか当事者も外野もよくわからないまま退場勧告されましたの図。
  14. 2009年11月末、GMOのお名前.comのDNSサービスが大規模障害で停止。お名前.comでドメインとったついででオマケのDNSサービスも使っていた数万(数十万?)のドメインのwebもメールもが13時間ほど迷子になった件。
  15. アクセス過多によるサーバー過負荷(DoS攻撃?)というよくある言い訳の真偽はさておき。当該のDNSサーバはプライマリ 01.dnsv.jp(210.172.129.68) とセカンダリ 02.dnsv.jp(210.172.129.69) が同じネットワークセグメント上にあるという驚愕のクソ設計。 tracerouteするとわかる、っていうかIP自体も隣どおしだし! これは一般ピープルはだませてもちょっとサーバ管理をかじった人間を100人集めれば100人ともが「ありえねえ!」と言うレベル。中小企業が自社のドメインの管理とリゾルバだけやるDNSならば話はちがうが、数千個数万個の単位で人様のドメインを預かって金を取ろうというauthorityサーバでこれはありえなさすぎ。例としてあげると、さくらインターネットの似たような付加サービス用のDNSサーバは ns1.dns.ne.jp (210.188.224.9) と ns2.dns.ne.jp (210.224.172.13) は、IP見てもわかるとおりまったく別系統のセグメント。そしてtracerouteするとなんとなくわかるが、
    traceroute to ns1.dns.ne.jp (210.188.224.9), 64 hops max, 40 byte packets
    (途中略)
     4  tksrt7e-srt2b.bb.sakura.ad.jp (59.106.248.162)  2.702 ms  4.292 ms  4.279 ms
     5  ns1.dns.ne.jp (210.188.224.9)  0.944 ms  2.108 ms  4.380 ms
    traceroute to ns2.dns.ne.jp (210.224.172.13), 64 hops max, 40 byte packets
    (途中略)
     6  osnrt2e-osnrt2b.bb.sakura.ad.jp (59.106.252.226)  12.224 ms  12.242 ms  8.733 ms
     7  ns2.dns.ne.jp (210.224.172.13)  12.155 ms  12.189 ms  12.190 ms
    つまり物理的に大きく離れた位置(この場合は東京と大阪と思われる)に設置されているわけだ。これが、中規模以上のDNSサーバを運用する上でのごく普通の方法。DNSはそれくらいの耐障害性が求められる重要サービスなのだからこそ、プライマリとセカンダリといった多重化の要素がDNSの概念そのものに織り込まれているのだが、ネットワークレベルでこういうことをされるとそれも無意味。GMOはこのDNSサーバを運用した人間ではなく設計した人間をクビにすべき。
  16. それにしても、いつぞやは隠しリンク屋にあっさり騙されてのれんを貸しつつ意味も分からずにロングテールとうたってみたり、ましてや「セカンダリDNSサーバにおすすめ!」といってゾーン転送できないDNSサーバを恥ずかしげも無く売り込むというギャグとしか思えない前科もあったり、およそインターネットのド素人でしかないGMOの面々にはRFC2182 - セカンダリーDNSサーバーの選択と運用といった高度な文書の解読は不可能であろうから全社員できるシリーズでも買ってからハローワーク(ry。
  17. そしてそんなお名前.com(のDNSサービス)に自社のドメイン名を預けていた人は、自分の手に持った箸がつっこまれていた先はGMO特製の闇ナベであり、全員まとめてハズレの具を食わされるべくして食っていたということに気づいたんだか気づいてないんだかの図。 そういや*.shopドメインの胴元やらせろとかいう与太も吐いてたが、誰かICANNに電話しろよトップレベルドメインっていうレベルじゃねぇぞ
  18. 昨年夏に日本のインターネットの終わりを予言し業界を震撼させた高木氏。今年はたった1行で数十人のブックマーカーが恐怖のズンドコ。(2009/11)
  19. 昨年学校裏サイトに正面切ってゴルァしてマッチョの称号を与えられたお父さん、著書を出版
    4798119504

    子どもをネットから守り、ネットで育てる 頼れるお父さんになるための実践アドバイス

    翔泳社 2009-12-10
    吉田 賢治郎 (著)
    by G-Tools

文字通りダークサイドに堕ちてしまったネット業界の壮大なバーチャル闇鍋において、われ我が道をばく進するマッチョ父こそが唯一の希望、最後のジェダイなのだと個人的にはガチでそう思うところであり、俺もジェダイとやらないか飲んでみたい

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