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エイズ増える日本「現実直視を」 来日のNGO代表訴え

2009年12月1日4時52分

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写真:現実をふまえたエイズ対策を訴えるブラジル人活動家のアラウージョさん。同国の対策ポスターは対象が具体的だ=25日、東京・四谷の上智大学現実をふまえたエイズ対策を訴えるブラジル人活動家のアラウージョさん。同国の対策ポスターは対象が具体的だ=25日、東京・四谷の上智大学

グラフ:  

 12月1日は世界エイズデー。先進国で唯一、感染者、患者とも報告数が伸びているとされるのが日本だ。ブラジル・サンパウロ在住のNGO代表、ジョゼ・アラウージョ・リマ・フィーリョさん(52)は横浜で国際エイズ会議が開かれた15年前から来日し、警鐘を鳴らし続けている。「現実から目をそむけないで」

 アラウージョさんは自身もHIV感染者で、国の生命倫理委員会委員を務める。今回は在日ブラジル人らが運営する市民団体「クリアチボス」の招きで、3年ぶりに来日した。日本訪問はこれで13回目。名古屋市で26〜28日に開かれた日本エイズ学会に出席したほか、12月8日まで各地で講演して回る。

 日本のエイズ対策を長年みてきた。「現実を直視しない姿勢は変わらない。むしろ後退している」という。

 アラウージョさんによると、ブラジルではコンドームの無料配布や青少年への性教育を積極的に進めることで、感染者数が新たに増えるのを抑えている。感染者は各地の保健所で、抗ウイルス薬の処方を無料で受けられる。「現実を放置すれば、待ち受けているのはより悲惨な状況だから」

 それに比べ、日本の取り組みはあまりに対照的に映る。性行為の低年齢化は進んでいるのに、学校での性教育ではセックスについてもエイズについても詳しく語られず、コンドームを提示することすらタブー視される。

 こんな中、日本国内の感染者の総数は2008年までに1万人を超えた。潜在的な感染者は数倍いるとみられる。

 アラウージョさんはコンドームについて教える重要性をこう語る。「無免許の人が車に乗ったら、必ず事故は起きる。なぜセックスについては同じように考えないんだい?」「『寝た子を起こすな』という日本人の態度は、将来を担う世代に対して無責任だ」(石田博士)

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