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行政刷新会議:仕分け了承…判定結果、政治判断で変更も

行政刷新会議であいさつする鳩山由紀夫首相(中央)と仙谷由人行政刷新担当相(右)、菅直人副総理兼国家戦略担当相=首相官邸で2009年11月30日午後6時33分、藤井太郎撮影
行政刷新会議であいさつする鳩山由紀夫首相(中央)と仙谷由人行政刷新担当相(右)、菅直人副総理兼国家戦略担当相=首相官邸で2009年11月30日午後6時33分、藤井太郎撮影
来年度予算編成の流れ
来年度予算編成の流れ

 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)が30日夜、首相官邸で開催され、予算の無駄削減のために実施した「事業仕分け」の判定結果を「尊重する」ことを確認した。科学技術予算や診療報酬などの案件で政治判断による判定結果の変更を容認するものの、その際は「内閣が責任を持って説明することが必要」との認識で一致した。財務省が予算査定を本格化させ、年末に向け95兆円超の10年度予算の概算要求を圧縮する。

 鳩山首相は会議の冒頭で「結果を来年度予算にしっかり取り込むのが重要だ」と述べ、判定結果を極力予算に反映させる意向を示した。一方、仙谷由人行政刷新担当相は会議後の記者会見で、予算縮減の判定を受けた次世代スーパーコンピューター開発費などに関し、「仕分けの結果を最大限尊重しつつ、政治の場で決着を付ける、という話だ」と説明し、閣僚間で最終調整する考えを示した。

 会議では、概算要求の見直し方針として、既に決定していた「複数省庁で重複する事業」など9項目に加え、「独立行政法人のあり方と存続の徹底した見直し」と「無駄や非効率を恒常的に監視する体制整備の検討」の2項目を盛り込んだ。国会の決算機能や総務省行政評価局の強化などが念頭にあると見られる。スパコンなど個別の判定結果に関する発言はなかった。

 また、政府が補助金を支出している公益法人に関し、支出廃止の検討などの点検項目も了承。年明け以降、徹底した見直しを進めることで合意した。

 仕分け作業は449事業を対象に実施。毎日新聞の集計で71事業を「廃止」するなど、概算要求の削減額は約7500億円。これに公益法人の基金の国庫返納などを合わせ削減額は約2兆円だった。

 今後、補助金の一部が天下り法人の人件費などに充てられる「中抜き」など、11項目の見直し方針を仕分け対象外の事業にも横断的に適用し、概算要求を削減する「横串(よこぐし)」作業を行ってさらなる財源捻出(ねんしゅつ)を図る。藤井裕久財務相と仙谷氏が「横串」の徹底で連携し、菅直人副総理兼国家戦略担当相がマニフェスト関連予算の見直しに当たる予定だ。【鈴木直】

 ◇解説…科技予算、仕組み作りを

 30日の行政刷新会議で、科学技術予算などに対する事業仕分けの判定結果が、「政治判断を要する」として見直す方向になったのは、科学者や政府内からの反発の声が広がり続けているためだ。

 27日までの仕分けでは、世界最高速の演算能力を持つ「次世代スーパーコンピューター(スパコン)」関連予算(10年度概算要求で267億円)に対し、「世界一を目指す必要はない」などの厳しい指摘が相次ぎ、大幅縮減の判定が下された。大型放射光施設「スプリング8」(108億円)も、「効果の説明が不十分」などを理由に「3分の1~2分の1程度の予算縮減」を求められた。

 目玉予算の相次ぐ縮減判定に、ノーベル賞学者らが記者会見し、「『科学技術創造立国』に反する」と批判。菅直人副総理兼国家戦略担当相らが見直しの意向を示唆した。30日の刷新会議の冒頭、鳩山由紀夫首相は「資源小国の日本にとって、科学技術は大事だ」と、科学技術重視の姿勢を強調した。一方、鳩山首相は「必ずしも(予算が)純粋に科学技術だけに使われているわけではない」とも語った。行政刷新会議メンバーの片山善博前鳥取県知事は「科学技術予算は必要。でも、(予算の一部を人件費などに使ってしまう)官僚OBの天下りとかを取り払わないと」と解説する。

 科学者らの応援をバックに文部科学省は「縮減」予算の復活に全力を挙げる方針。同時に、予算が純粋に科学に充てられる仕組み作りも求められている。【谷川貴史】

毎日新聞 2009年11月30日 21時33分(最終更新 12月1日 1時18分)

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