消費者金融大手「武富士」(東京都新宿区)の武井保雄元会長が生前に住んでいた邸宅の土地や建物を売却すると偽り、大手不動産会社「三菱地所」(千代田区)から手付金約1億5000万円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は30日、詐欺と有印私文書偽造容疑で元弁護士の佐竹修三容疑者(57)=東京弁護士会が除名処分=を逮捕した。関与したとみられる不動産ブローカーら3人についても、同容疑で逮捕する方針。
捜査関係者らによると、佐竹容疑者ら4人は、武富士の関連不動産会社「大央」(杉並区)が所有し、武井元会長が住んでいた杉並区高井戸西の約5000平方メートルの土地と2階建て建物を売却するとした同社取締役会の議事録や佐竹容疑者への委任状などを偽造。07年2月、この偽造書類を三菱地所に渡して約24億円で売却するとの契約を締結し、三菱地所から手付金約1億5000万円をだまし取った疑い。
土地や建物の権利証が譲渡されなかったため、三菱地所は07年3月、第三者への不動産譲渡を禁じる仮処分を東京地裁に申請した。一方、大央は「虚偽の売却話で信用を傷つけられた」として三菱地所に損害賠償を求めて提訴したが、双方は08年11月に和解した。
故武井元会長の邸宅は京王井の頭線富士見ケ丘駅の北東約150メートルの住宅街にあり、現在は家族が住んでいるほか、武富士の研修施設「真正館」としても使われている。
佐竹容疑者は、報酬を受け取りながら弁護活動をしなかったなどとして、今年9月29日付で東京弁護士会に除名処分され弁護士資格を3年間失っている。佐竹容疑者は30日朝、取材に「(詐欺の)意図はなかった。自分はだまされただけだ」と話した。【酒井祥宏、川崎桂吾】
毎日新聞 2009年11月30日 11時33分(最終更新 11月30日 15時07分)