コラム:アーナル対チェルシー、勝つのは?
チェルシー有利にも思えるが…
2009/11/29 14:22:14
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チーム
魅力的な攻撃を見せるアーセナルと戦い方にブレがないチェルシー。29日、エミレーツ・スタジアムでのロンドンダービーは、論理的に考えれば、引き分けが妥当な結果のように思える。しかし、今シーズンの両チームの戦いぶりを見る限り、そういう結末を迎えるとは考えにくい。
データを一見すると、引き分けを予想したくなるはずだ。若いアーセナルの力に期待する人は、2-2の引き分けに賭ければいい。しかし、分別がある人なら、データにもからくりがあると気づくだろう。
2000年以降、アーセナルがホームでのチェルシーとのリーグ戦で無得点に終わったのは、2005年12月に0-2で敗れた1度だけ。一方で、過去4シーズンのうち、アーセナルが勝ったのは2007年12月、ギャラスのゴールで1-0と辛勝したときのみで、残りは1分け2敗と負け越している。
その前にアーセナルがリーグでチェルシーに勝ったのは2003年10月のこと。また、カップ戦を含め、過去5シーズンでは13戦してアーセナルの2勝4分け7敗とチェルシーが圧倒している。
両チームのケガ人の問題やこのところの成績、安定感などを比較しても、チェルシーの有利は揺るがない。アーセナルの場合、ギャラスのコンディションに左右される点からも、守りの脆弱さがうかがえる。
それでも、ガナーズにはリーグ12試合で36ゴールというプレミア・ナンバーワンの攻撃力がある。対するチェルシーも13試合で33ゴールとリーグ2位の好成績だが、攻めではアーセナルに分がある。
ただし、守りとなると立場は逆転。12試合で15失点しているアーセナルに対し、チェルシーは13試合でたった8失点とこちらはプレミア・ナンバーワンの守備力を誇る。
もちろん、ダービーマッチ特有の意地のぶつかり合いも見ものだが、カップ戦に関してもここ数シーズンはチェルシーに軍配が上がっている。記憶に新しいのが昨シーズンのFAカップ準決勝。ドログバのパワーとテクニックがチェルシーを決勝へ導いた。
確かに、ライバル同士の戦いでは、過去のデータはあまり参考にならず、何が起きても不思議ではない。少しの運やひとつのミス、一瞬のひらめきが勝負を分けることもある。そうだとしても、チェルシーの機械のように寸分の狂いもない安定感が、そういう要素によって影響を受けるとは考えづらい。
しかも、ホームチームが足首のじん帯を傷めたファンペルシーを欠くのは痛い。今シーズン、チェルシーのアネルカ同様、5試合でチームの1点目を挙げていた大黒柱だ。
アーセナルとしては代わりのメンバーに期待すると同時にアルシャビンやキャプテンのセスクに試合の流れを変えるような決定的な仕事をしてもらうしかない。もちろん、チェルシーの攻撃をしっかり封じることも大切。チェルシーに弱点があるとすれば右サイドバックのため、左サイドでプレーするロシア代表がそこを突けるかどうかである。
相手を翻弄する活躍が求められるアルシャビン。ワールドカップ欧州予選プレーオフでロシア代表が敗退したときはともに無念を味わったチェルシーのアブラモビッチオーナーと、今度は敵味方に分かれて顔を合わせることになる。アブラモビッチの前で、チェルシー相手にアーセナルの一員として輝きを見せ、ゴールを挙げるとしたら、皮肉なものだ。
ティム・コリングス/Goal.com