【コラム】インドのようになりたい北朝鮮
2006年12月中旬、韓国政府の対米、対北朝鮮担当者に緊急事態が起きた。ブッシュ米大統領(当時)がインドに核燃料の販売と核技術の移転を認める協定に署名したとのニュースが報じられたためだ。核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、核兵器を開発したインドに例外を認め、特恵を与えたわけだ。
中国をけん制し、原子力関連の米企業の輸出を助けるというのが目的だった。この協定によって、インドは米国から核技術の移転を受けるのはもちろん、核保有国の地位を公的に認められる道が開かれた。
一部の科学者が「NPTの終末」として批判したこの協定が署名されたとき、中国・北京では1年以上中断していた北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議がちょうど再開されていた。北朝鮮との交渉を再開した政府当局者は、この協定が北朝鮮に与える影響を懸念した。ある政府関係者が「北朝鮮の核開発を食い止めようとしているのに、どうしてインドに例外を認めたのか分からない」と嘆いたのが思い出される。
一部の予測通り、北朝鮮は米国が「ダブル・スタンダード」をインドに適用しているのを見逃さなかった。2007年3月、北朝鮮の6カ国協議首席代表の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官がニューヨークを訪問した。同次官は自分の相手役のクリストファー・ヒル米国務次官補(当時)に対し、「われわれ(北朝鮮)もインドのように待遇してほしい」と要求した。北朝鮮が「すべての核の廃棄」を明記した2・13合意に署名してからまだ1カ月もたっていなかった。
バラク・オバマ米大統領が24日、1年ぶりの米朝直接対話を控え、米印間の原子力協定の継承を再確認したことは、まさに3年前を思い起こさせる。オバマ大統領はブッシュ前大統領の外交政策に批判的だ。しかし、インドのシン首相を「国賓」として迎えながら、インドに対する核政策に変化がないことを明確に示した。
来月8日、スティーブン・ボスワース米北朝鮮政策特別代表を迎える北朝鮮は、今回もオバマ政権のこうした動きを注視しているはずだ。もちろん、オバマ政権の関係者らは「北朝鮮は決してインドのようにはなれない」と断言する。米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のゲリー・セイモア調整官(拡散防止担当)は07年11月に行った講演で、「北朝鮮は米国から“核協力”を受け、関係も良好なインドのようになりたいと思っているが、そうなる可能性はない」と語った。インドは30年以上核拡散で問題を起こした記録がなく、民主的に選出される政府が核施設を管理しているため、北朝鮮とは異なるというわけだ。
しかし、できるだけ時間を稼ぐことでインドのようになりたいという北朝鮮の欲望が容易になくなるだろうか。北朝鮮は核問題における米国の二重性を問題視しており、核保有国の地位を維持したまま、米国との関係正常化を打診する可能性が高い。どうにかして現在の「危機局面」を打開すれば、結局は核保有を認められる、と金正日(キム・ジョンイル)総書記が判断する可能性がある。
韓米両国は、北朝鮮がボスワース代表との会談で本格的に「インドモデル」を切り出す場合に備え、「プランB」(代案)も十分に準備する必要がある。
ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員
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