インターネット上の仮想空間の「土地」投資話で会員を集め、勧誘の仕方などに苦情が相次いでいる「ビズインターナショナル」(さいたま市大宮区)が、「次世代型の携帯電話」を活用した事業についてもマルチ商法(連鎖販売取引)で会員を募り、苦情が出ていることがわかった。
会員の話や同社の配布資料によると、ビズ社側は、ネット上で運営する仮想空間「エクシングワールド」で利用者同士がチャット(会話)をするのに使える携帯端末が9月に発売されると、今年初めごろから宣伝を始めた。全国の農家から作物を買ったり、利用者が自作の動画や音楽を配信したりできると説明し、この携帯を活用する事業の会員を6月〜10月末に募った。
会員になるには、事業をPRするDVDを約30万円で買う必要があるが、後に事業収入が還元されるとの説明だった。仮想空間の会員はそのまま携帯事業の会員にもなれる仕組みだった。
ビズ社は会員が新たな会員を集めると1万円の報酬が得られるマルチ商法の手法を使って、会員を増やした。
宮城県が9月にビズ社に4カ月の業務停止を命じた際は、仮想空間だけでなく、携帯事業の勧誘でも特定商取引法に反する行為を認定した。同県によると、ビズ社の名前や目的を告げずに「携帯端末を使えばお金がもうかる」と断定的に言って勧誘した例があった。誘われた人が退席の意思を示しても4時間以上、説明を続けた例もあった。朝日新聞の取材に応じた大阪市の20代の女性は、親類に勝手に名義を使われ、契約書を作成する前に契約代金を振り込まれたという。