カートは10メートル以上ギャラリーをなぎ倒して止まった。コースは悲鳴に包まれた=29日午前10時半、高知県芸西村のkochi黒潮CC
男子ゴルフのカシオワールドオープンが開催されている高知県芸西(げいせい)村のゴルフ場で、29日午前10時15分ごろ、石川遼選手らを取材していたTBS(東京都)のスタッフが乗ったカートが約15メートルにわたって暴走。密集していた観客(ギャラリー)に突っ込み、女性4人がはねられた。
このうち1人がカートに5メートル以上引きずられ、顔全体を強く打って目の周りの骨が折れる重傷。この女性と打撲で軽傷を負った別の1人が病院に運ばれた。他の2人はいずれも軽傷。高知県警が業務上過失致傷容疑で調べている。
TBS広報部や大会関係者によると、現場はKochi黒潮カントリークラブの2番ホール。カートには映像を収録していたTBSと契約している制作会社のスタッフ2人が乗り、男性カメラマンが運転していた。観客らによると、第1打を終えた石川選手について行こうとコース脇の道を移動中のギャラリーらに、カートが後ろから突っ込んだという。
現場は下り坂で緩やかなカーブとなっており、TBS広報部は「下り斜面でギャラリーを避けようとして、ハンドル操作を誤って接触した」と説明。顔全体を強く打った女性は、手や足にも擦り傷を負っているという。
事故当時はギャラリーらの悲鳴が上がり、現場は騒然とした。フェアウエーを歩いていた石川選手も、女性が引きずられる場面を目撃。「初めて見る光景で、寒気がした。さすがにあのホールは動揺しましたね」と振り返った。
TBSの現場責任者にあたるスポーツ局中継制作1部の岡田浩一プロデューサーが29日夜、ゴルフ場の記者室で会見し、「けがをされた方や大会関係者のみなさまには、大変なご迷惑をおかけした。カートの運転については日ごろから指導していた。カメラマン本人も深く反省しております」と謝罪した。