中日の中田スカウト部長、米村スカウトが28日、ドラフト1位で指名した智弁和歌山高・岡田俊哉投手(17)と和歌山市内のホテルで入団交渉を行い、契約金8000万円、年俸800万円で仮契約した。岡田は「中継ぎや抑えの方が、自分の持ち味を出せると思う」と話し、入団前の投手としては異例の救援志願を明らかにした。
思い描く将来は竜の守護神だ。「自分の売りは強心臓。登板の場面を待てば待つほど気持ちが高ぶります。投げられるならどこでもという気持ちですが、将来は岡田が出てきたら大丈夫と思われるようになりたい」。熱い思いを打ち明けた。
広い肩の可動域を生かした独特のフォームが岩瀬に似ていることから、岡田はドラフト以前から「岩瀬2世」と評されていた。この日も理想の選手像を聞かれて「岩瀬さん。調子の波がないところがすごいと思います。自分も岩瀬2世と呼ばれたい」と即答した。
しかし、新人が入団前から救援を志望するのは異例だ。今や守護神となった岩瀬もドラフト指名直後には「山本(昌)さんのコントロールを習いたい」と話し、当時から先発陣の柱だった先輩左腕を目標にかかげていた。
岡田は智弁和歌山高では絶対的エースとして、1年生の時から先発してきた。そんな岡田がリリーバーの楽しさに“開眼”したのは9月7日、米国カリフォルニア州のコンプトン。岡田は高校日本代表の一員として海を渡り、大リーグが設立した野球振興施設・アーバンユースアカデミーの高校生の親善試合に登板した。
1勝1分で迎えた3戦目は同遠征最終戦。岡田は6−8と2点を追う6回から登板した。味方の援護がなく、試合はそのまま敗れたが、9回まで4イニングをパーフェクトに抑えた。「もう1点もやれない緊迫した場面で、一番いいピッチングができたんです。独特の緊張感の中にいてやりやすかった」。高校生としての最後の登板がリリーフ。そこで自身のベストピッチができたことを岡田は自信にしたという。
「中継ぎや抑えは毎日のように投げられる。毎日出たいです。技術も体力も全部伸ばして、早くドラゴンズの一員として認めてもらいたい。デビュー? 早ければ早いほどうれしいです」。ドラフト1位は、期待に胸をふくらませている。 (若原隆宏)
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