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【格闘技】内藤VS興毅 きょう決戦 20時30分運命のゴング2009年11月29日 紙面から ◇WBC世界フライ級 タイトルマッチ・前日計量
敵討ちか、返り討ちか−。WBC世界フライ級タイトルマッチの前日計量が28日、東京・後楽園ホールで行われ、挑戦者亀田興毅(23)が、パフォーマンスに応じない王者内藤大助(35)に「プロ失格。アイツは終わり」と“引退勧告”。2年前、内藤に敗れた弟大毅の敵討ちを誓った。一方、王者は、興毅の挑発を徹底無視。「試合でボーンと出す」と返り討ちを宣言した。因縁うずまく内藤と亀田家の最終決戦。午後8時30分、運命のゴングが鳴る−。 ◆「マイペース」不変王者内藤は、興毅が繰り出す“パンチ”をひたすらかわし続けた。前日に続き、メンチ切りを徹底無視。視線すら合わせなかった。 計量を終えると、にらむ挑戦者をよそに、そそくさと着替えて控室に戻った。「見ないようにしていた。人それぞれ。オレにはオレのやり方がある」。マイペースを強調し、「これからカミさんの手料理食べます」と笑顔を見せた。 負けたら引退−。王者は、そう心に決めて5度の防衛を重ねてきた。これまでわがままを許してくれた家族との約束でもある。前日、TBS系列の番組で「もし負けたら引退する」と妻真弓さんに伝えるシーンが流れた。そのことを問われても「いつも考えていることと一緒。終わってから考える」と多くは語らない。ただ目の前の試合に集中していた。 35歳2カ月。勝てば自身が持つ日本人最年長防衛を更新するだけでなく、日本人最年長世界戦勝利となる。しかも相手は因縁の興毅。モチベーションが上がらないわけがない。 「特別な相手? う〜んどうだろう。逆に意識しないようにしているよ。とにかく面白い試合をしたいね」 亀田家に宣戦布告してから4年。次男大毅を退け、いよいよ迎える運命の一戦。長男を返り討ちにして、亀田家との因縁に終止符を打つ。 (森合正範) ◆ようやく“らしさ”前日のガチガチ会見から一変、浪速の闘拳が、ついに、戦闘モードに突入した。ペンダントを着けたまま計量を一発でクリアした興毅は、こん身のマッスルポーズを披露。「(王者は)しんどそうやな。顔がカサカサや。これでアイツも終わりや」と、王者に引退勧告を突きつけた。 前日の会見では、緊張のせいか、ビッグマウスは鳴りを潜めた。内藤に仕掛けたメンチ切りも完全に無視されて不発。不完全燃焼に終わった。この日も、王者に何度も鋭い視線を飛ばしたが、「向こうはやる気なしや」と、これまた空振り。握手もしない徹底した相手の行動に、もう我慢の限界だった。 「『盛り上げよう』って言っていたのに、最後の最後までなんもなかった。プロじゃないよね」。挑発も、パフォーマンスもしない王者を完全にこき下ろし。プロ失格の烙印(らくいん)を押した。 03年のプロデビューから22戦目。多くの強豪を倒してきた興毅が、初めて日本人と対戦する。だが「意識していない。自分のボクシングをするだけや」と強気一辺倒。肌のつや、筋肉の張り、そして安定した数値を記録した検診結果が、好調ぶりを物語る。「リングに上がれば、オレがどんだけ強いか分かる。オレの力を早く証明したい」。悲願の2階級制覇と今後の亀田家の命運がかかった大一番。決戦の準備は整った。 (石川晴信)
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