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【大相撲】白鵬年間84勝の歴代最多タイ きょうにもV&記録更新2009年11月28日 紙面から
◇九州場所13日目(27日・福岡国際センター) 横綱白鵬(24)=宮城野部屋=が優勝に王手をかけた。白鵬は琴欧洲をすくい投げで下し13連勝。2005年に朝青龍がマークした歴代最多の年間84勝に並んだ。横綱朝青龍(29)=高砂部屋=は琴光喜に敗れて連敗。14日目に白鵬が琴光喜に勝つか、敗れても朝青龍ら2敗力士3人が敗れれば2場所ぶり12度目の優勝が決まる。序ノ口では、史上ワーストの38場所連続負け越しだった東16枚目の森川改め森麗(もりうらら)(22)=千葉県出身、大嶽部屋=が、39場所目で悲願の勝ち越しを決めた。 豪快に、そして華麗に決めた。白鵬はもろ差しになられた琴欧洲に対し、流れるような連続技で劣勢をはねのけた。内掛けで揺さぶり、左を巻き替えると、左足をはね上げてのすくい投げ。琴欧洲を大きく宙に舞わせ、朝青龍の年間最多勝に並ぶ84勝目を、鮮やかに飾ってみせた。 ついに並んだ。2005年に朝青龍が達成した時は“破られることはない”とまで言われた84勝。「目標にして頑張っていた。さりげなくやってるうちに、こういう結果になった」と、控えめに感慨に浸った。 さらにダブルリーチだ。朝青龍が連敗したことで、14日目に勝てば12度目の優勝が決まる。そして無敗で13の白星を重ねたことで、年間最多勝更新も同時に達成できることになった。「先場所優勝できなかったからね。優勝して(最多勝更新の)結果も出したい」と、一気に決める気満々だ。 九州は白鵬にとって、喜びも苦しみもつまった場所だ。十両昇進を決めた2004年。部屋近くにあったモンゴル料理店で郷土の味を楽しみ118キロから134キロへ一気に増量。関取で通用する体をつくった。大関になった06年は、けいこ中に左足を骨折し全休。前場所の綱とり失敗に追い打ちを懸ける悔しさを味わった。 その屈辱をバネに、横綱になった翌年からは連続優勝。今年優勝ならば、同一場所の3連覇は自身初めての経験になる。さらに優勝にこだわる理由がある。「九州で双葉山関に並べたらね」。大分県出身の横綱双葉山に並ぶ12度目の優勝を“角聖”のご当所九州で決めれば、最高のフィナーレになると考えている。原点ともいえる九州で、白鵬が大きな花を咲かそうとしている。 (田中一正)
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