鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)を巡る偽装献金問題で、実母側からの資金提供は大半が贈与だった疑いが強まった。鳩山氏側は最初に資金提供を求めた約10年前に借入金と告げながら、それ以降は借入金とは確認せず、借用書がないばかりか返済期限や使途の制限もなかった。東京地検特捜部も大半が贈与だったとの見方を強め、実母から参考人聴取する方向で検討を始めた。
関係者によると、虚偽記載を認めている元公設第1秘書は約10年前、資金難に陥っていることを周囲に漏らし、鳩山家の関係する公益法人の幹部が実母側に窮状を伝えて資金提供が始まったという。この際、鳩山氏側は実母側に「貸してほしい」と借入金であることを伝えたが、その後も継続的に行われた資金提供では、こうしたやりとりはなかったという。
元公設第1秘書は特捜部の任意の事情聴取に対し「『貸してほしい』と言って始まった資金提供なので貸付金だと思っていた」と説明している模様だ。しかし▽2回目以降、贈与なのか貸付金なのかについて確認していない▽鳩山氏側にとって自由に使える資金だった▽借用書がない▽返済されていない▽実母側は使途も把握していない--ことなどから、特捜部は贈与であるとの見方を強めている模様だ。贈与と認定されると、鳩山氏には贈与額の最大50%が課税され、鳩山氏が修正申告しなければならない。
実母から鳩山氏側へは08年までの5年間に計約9億円の資金が提供され、うち約1億円が友政懇の政治資金となり虚偽記載の原資になったことが判明している。特捜部は友政懇の政治資金収支報告書に総額3億数千万円の虚偽記載があったとして、会計実務を担当していた元公設第1秘書を政治資金規正法違反で在宅起訴する方針を固めている。
毎日新聞 2009年11月28日 東京朝刊