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【昭和正論座】京大教授・会田雄次 昭和51年12月1日掲載 (1/5ページ)

2009.11.28 07:35

 ■夢想家が権力を握るとき

 ≪調和ある社会崩したもの≫

 天は二物を与えず、造物主は案外公平ですばらしい長所は一つしか与えない。それどころか、大きな利点を持った人、例えば美人には薄命を、才子には多病という風にそれに対応して利点を台無しにしてしまいかねない弱身をつけ加えてしまう。凡人は無病息災だ。こうして世の中はみんな平等でうまく行くことになっている。

 自然はこのように平等で調和がとれるようにできているのに人間はそれをゆがめてしまった。富者や権力者は自分たちの持つ欠陥面を無理やり補おうとし「悪い奴ほどよく眠る」社会を作り上げた。もっと自然な、平等で平和で調和のとれた社会に戻さねばならない。

 現在の日本に氾濫(はんらん)し、マスコミなどで支配的になっている情緒的な人間観社会観というものはその典型であろう。人間は本来平和を愛し求めるものなのにといった感傷論の「本来」も、一時流行した新左翼の何とかの原点に戻って思考し行動しようといった「原点」も、みなこの種の自然観人間観を土台としている。新聞の投書欄に見られる思想めいた、人生論めいた意見の殆(ほとん)どはそれである。ロッキード事件批難の声でさえも、ちょっとその文章を分析して見れば、この感情に支えられたものが大部分だということが証明できる。

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