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【主張】米中の削減目標 「効果は疑問」日本が突出

2009.11.28 03:08
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 来月コペンハーゲンで開かれる「国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)」を前に、米国と中国が駆け込みで、2020年までの温室効果ガス削減の中期目標を公表した。

 米国は総排出量を17%減らし、中国は国内総生産(GDP)当たりの排出量で40〜45%削減するという。ともに2005年比での数値だ。世界の2大排出国が、ようやく具体的な削減目標を提示したわけである。

 COP15では、現行の「京都議定書」に続く新たな議定書の採択が困難な情勢となっており、協議の前進には、米中の具体的行動がカギになるとみられていた。

 その意味で、米中の目標提示を評価する声もあろうが、それは甘い。両国の目標に、どれだけの実質的な意味があるのか、冷静に見極めることが必要だ。

 米国が示した17%減は、1990年比なら、わずか3%減にとどまる。日本が目標として掲げている90年比25%減には遠く及ばない。かつて、米国が京都議定書で約束していた7%減に比べても半分以下だ。

 中国の対策も、効果のほどは大いに疑問だ。排出総量ではなく、GDPと比較しての削減である。そのため、経済成長が続けば、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出増加は避けがたい。何もしないよりはまし、という程度であろう。

 それに対し、鳩山由紀夫首相が9月に国連の場で表明した90年比25%減という削減率は、異様に高い。まして、日本の省エネへの取り組みは、他国に先行して進められてきた。削減余裕の多い国とは全く事情が違うのだ。

 COP15の交渉で日本は、国民生活や企業の経営に、過度の負担がかからない範囲にまで削減目標を下げるべきだ。鳩山首相も「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意」を大幅削減の前提条件としていたではないか。

 米中の“歩み寄り”で、日本は25%からの下方修正を言いだしにくくなっている。退路をふさがれかねない状況だ。しかし、COP15の交渉では、国益を不当に損なうことのないよう、しっかり議論をしてほしい。

 COP15では、国益と地球益のバランスを考えたうえでの、したたかな交渉が参加国の間で展開される。「友愛」を頼りに臨むなら、あまりに無謀だ。

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