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高解像情報衛星打ち上げ 60センチの地上物体識別

情報収集衛星を搭載して打ち上げられるH2Aロケット16号機(28日午前10時21分、鹿児島県の種子島宇宙センターで、本社ヘリから)=林陽一撮影

 三菱重工業は28日午前10時21分、北朝鮮の軍事施設などを監視する情報収集衛星「光学3号」を搭載した国産主力ロケットH2A16号機を、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。光学3号は約20分後に分離、予定の軌道に乗ったことが確認され、打ち上げは成功した。情報収集衛星の打ち上げは2007年2月の「レーダー2号」以来で、高性能の光学3号によって監視体制が安定する。

 光学3号は、03年3月に打ち上げられ、すでに設計寿命(5年)を超えている光学1号の後継機。情報収集衛星としては過去最高の性能を持つ望遠デジタルカメラを備え、地上の物体を識別する能力(解像度)はこれまでの約1メートルから約60センチに向上したとされる。打ち上げを含めた費用は約580億円。

 情報収集衛星は1998年の北朝鮮のテポドン・ミサイル発射を受け、政府が開発を決定。事実上の偵察衛星で、地球の上空数百キロを周回しながら地上を観察する。現在は昼間に高精度で撮影する光学1号、2号と、夜間や曇天時にも電波で地上の物体の特徴をつかむレーダー2号の計3基が稼働している。

 ただ、地上のあらゆる地点を24時間内に1回監視するには、光学式とレーダー式1基ずつの組み合わせが2セット必要。07年2月にいったんこの体制が整ったが、1か月後にレーダー式1基が故障した。政府は早期回復を目指し、11年度にレーダー3号を打ち上げる予定。06年9月に打ち上げた光学2号の後継機・光学4号も同年度に打ち上げる。

 H2A16号機は高さ53メートル、直径4メートルの2段式。発射を補助する固体ロケットブースター2基を備えている。H2A打ち上げは05年2月以降、10機連続の成功で、成功率は94%になった。国際宇宙ステーションへの無人輸送機を積み、9月に打ち上げに成功した新型のH2Bと合わせて、日本のロケットへの信頼性はより高まった。

2009年11月28日  読売新聞)

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