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【玄界灘を越えて】白仁天物語(3)兵役と退場劇 「軍人」としてプレー (2/4ページ)

2009.11.24 18:57
このニュースのトピックス松井秀喜
ストライク判定に激怒し、露崎主審を転倒させた東映の白仁天。右は止めに入る大杉(手前)と張本(奥)=昭和45年5月23日、後楽園球場   ストライク判定に激怒し、露崎主審を転倒させた東映の白仁天。右は止めに入る大杉(手前)と張本(奥)=昭和45年5月23日、後楽園球場

 最高のお手本もあった。同じ民族の血が流れる大打者、張本勲だ。ある年の静岡・伊東キャンプ。白が夜中トイレに起きると、大広間で「ビュン、ビュン」と音がする。そっとのぞくと、パンツ一枚で一心不乱に素振りしている張本の姿があった。先輩に負けない練習の虫となることを誓った白は、血のにじむような努力でセンターの定位置を勝ち取った。

 44年には初めて打撃十傑(9位)に入り、さらなる飛躍を目指していた矢先、兵役問題が蒸し返された。当時、韓国男性には20歳から3年の兵役義務があり、現在のように、スポーツの国際大会で好成績を挙げた選手に対する兵役免除もなかった。白の東映入りも「2年後兵役に就く」というのが条件。日本での活躍で入隊が延期されていただけだった。

 母国では「兵役逃れ」を狙う国会議員らの子弟の海外留学が問題となり、帰国させる動きが出始めていた。白を日本に送り出す形になっていた朴政権には「特例を認めるのはどうか」という批判も集まり、大統領選を控えた時点で白を召還せざるを得なかった。

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ストライク判定に激怒し、露崎主審を転倒させた東映の白仁天。右は止めに入る大杉(手前)と張本(奥)=昭和45年5月23日、後楽園球場
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