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【玄界灘を越えて】白仁天物語(2)北から逃れた一家 (2/3ページ)
このニュースのトピックス:松井秀喜
そうやって異国の地で苦労した父は、白が日本へ渡るときに、こんな助言を手紙にしたためて持たせた。「日本では人が嫌がる仕事を率先してやりなさい。そうすればみんなに好かれるはずだ」。月を見上げながら父の言葉を思いだした白は、「日本語の勉強にもなる」と合宿所の電話番を引き受けた。相手は先輩の恋人が多かったが、たどたどしい日本語での受け答えは好感を持たれ、「これを白君に」と先輩に土産を持たせてくれる女性もいた。
必死に言葉を覚えようと辞書を手放さず、電話番の合間に大鏡の前で素振りを繰り返す白。その姿を見て隣部屋の土橋正幸が感心した。「こいつは韓国からきて、こんなにがんばっている。お前らも少しは見習え」。エースが若手に説教してくれたこともあって“いじめ”もなく、白は次第になじんでいった。
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チャンスは突然やってきた。韓国で朴正煕の大統領選出馬(メモ参照)が注目されていた翌38年の初夏。神宮球場で1軍の打撃練習を手伝っていると「お前も打ってみぃ」。監督の水原茂に命じられた。先輩、張本勲のバットとヘルメットを借りて打撃ケージへ。懸命に球を打ち返すと「よしっ、試合に出すぞ」。1軍の捕手、種茂雅之と安藤順三の2人が次々と故障したための緊急措置だった。
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