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行政刷新会議 事業仕分け結果の詳報<17日分>

(11月17日 22:00)

 行政刷新会議による17日の事業仕分け結果の詳報は次の通り。

 ▽総務省

 【消防関係補助金】市町村による耐震性貯水槽などの整備を支援する消防防災施設整備費補助金(2010年度概算要求30億円)は「小さな自治体にも利用しやすい制度にすべきだ」などとして地方移管と判定。特殊消防車などの整備を支援する緊急消防援助隊設備整備費補助金(同50億円)は要求の10%程度削減と判定した。

 【選挙関連経費】政治意識向上のため3億円を要求した財団法人「明るい選挙推進協会」への委託費は「財団法人の役割を再検討すべきだ」として廃止と判定。計544億円を計上した来夏の参院選経費は、開票時間を短縮した先進自治体の手法を全国に広げれば、投開票費用などは10〜20%の削減が可能とし、啓発費も「大幅削減」。

 【国勢調査の実施】概算要求682億円。調査の重要性や意義が国民に伝わっていないとして広報の在り方を見直すよう求める意見が続出。広報経費を中心に、5〜10%の削減となった。

 ▽財務省

 【国際機関への任意拠出金】欧州復興開発銀行を通じて中東欧・旧ソ連邦諸国の市場経済移行を支援する事業への拠出は、概算要求4億円。仕分け人は「当初の目的を達した」として廃止と判定。アジア開発銀行投資環境整備基金への拠出は、金融危機で経済情勢が大きく変わったため「来年度の予算計上見送り」。

 ▽法務省

 【裁判員制度の啓発推進】裁判員制度について説明会開催、パンフレットやDVD製作、車内広告などで広報する。概算要求は1億円。「裁判員になるのに消極的な人をポスター程度で説得できるのか」などと効果を疑問視する意見が続出。抜本的に見直すべきだとして、10年度の予算計上見送りと判定した。

 【登記事項証明書交付事務の民間委託】コスト軽減のため、法務局などでの登記事項証明書(登記簿謄本)交付業務の民間委託を進めており、委託費用78億円を要求。競争入札で、法務省の関連団体が落札するケースが目立つため、価格競争を重視するよう「入札制度の抜本的見直し」と判定した。

 【登記情報システムの維持管理】不動産などの登記情報を管理するコンピューターを新システムに移行中。日常的な運用経費などを含め181億円を概算要求。「高い単価でシステムエンジニアを雇っている」などの指摘があり、コスト削減の余地があるとして、10%程度削減の判定。

 ▽内閣府

 【現場の出番創出モデル調査】新たな地域活性化モデルを構築するための課題などについての調査経費30億円を要求。「これまでの取り組みで課題は明らかだ」などと調査の必要性を否定する指摘が相次ぎ、「廃止」と判定された。

 ▽厚生労働省

 【福祉医療機構】国が出資した基金の運用益で、高齢者や障害者の支援に取り組む特定非営利活動法人などに助成し、08年度は計30億円を支出。仕分け人は「基金の運用益だと財務省の査定がない。毎年度、一般会計から支出する形に変えた方が良い」などと指摘し「見直し」と判定。基金全額の2787億円をいったん国庫に返納するよう求めた。

 【雇用関係独立行政法人への運営費交付金】高齢者や障害者の就業を支援する「高齢・障害者雇用支援機構」への運営費交付金として325億円を要求。「見直し」で人件費などを削減すべきだとした。「勤労者退職金共済機構」への交付金も「見直し」と判定し、一般会計からの支出をやめるよう求めた。

 【国立保健医療科学院の養成訓練などの経費】自治体の保健所職員らに感染症などに関する研修を行うほか、医療・福祉行政に必要な研究を実施する厚労省所管の研修・研究機関で、要求額は6億円。「組織が肥大化している」「研修の応募率が低い」などの指摘が続出、業務スリム化や経費削減を求める「見直し」と判定した。

 【企業年金等普及促進費】企業年金連合会などが年金給付に必要な事務を行う際に厚労省が支給する補助金や、国民年金に上乗せして給付される付加年金の国庫負担分など。10年度予算では22億円を要求。「予算の算定根拠があいまい」などとして、3分の1程度削減するよう求めた。

 【年金に関する広報等の経費】国民年金の保険料を割り引く前納制度について社会保険庁が新聞広告などで周知する1億円の経費。判定は「予算削減」が多数だったが、「前納制度はある程度周知されている」とし、結論は「廃止」に。仕分け人からは、新聞購読層のサラリーマンの多くは年金の支給対象ではないとの意見も出た。

 【仕事と生活の調和推進事業】仕事と生活の調和(ワークライフバランス)推進を目的に、長時間労働の是正に取り組む企業活動の紹介などを進めるため、9億円を要求。仕分け人からは「本来は民間企業が取り組むべきもの」などと公金投入への疑問が相次ぎ「予算計上見送り」。

 【介護予防事業】介護が必要になる恐れの高い高齢者の運動機能向上に取り組む市町村に厚労省が事業費の一部を補助し、10年度予算で200億円を要求。仕分け人の多くが「介護給付費の削減にどれだけ役立つのか、科学的根拠が示されていない」などとデータ収集が不十分だと反発。要求額を「縮減」するよう求め、削減率は「判定不能」とした。

 【保育所運営費負担金(利用料設定の仕組みを含む)】保育料について、0〜2歳の子どもでは生活保護世帯の月0円から年収が932万円以上の世帯の月8万円まで、収入に応じて国が設定する基準額について議論。収入がより高い世帯については、新たな区分を設けて保育料を徴収するなど、基準額を見直すべきだと判定した。

 【国連・障害者の十年記念施設運営委託費】堺市にある障害者の交流施設を財団法人に委託運営する費用として厚労省は3億円を要求。仕分け人は「財団への委託をやめ民間に直接委託して効率化を図るべきだ」と指摘し「見直し」と判定した。

 ▽文部科学省

 【宇宙航空研究開発機構(1)GXロケット】官民共同で開発している中型ロケット。難航していた液化天然ガス(LNG)エンジンの開発にめどが立ち、完成のために58億円を概算要求。ただ、ロケット全体の完成にはさらに1千億円かかるとされ、仕分け人からは「ビジネスになるのか」との疑問。エンジン単体にも「具体的なニーズはない」(文科省)ため、来年度予算計上は見送り、ロケット開発計画は廃止。エンジン単体の開発も抜本的見直し。

 【同機構(2)宇宙ステーション無人補給機(HTV)など】「毎年1機の打ち上げが国際約束」として2〜5号機の製造などに259億円を概算要求。仕分け人からは「2〜7号機の一括契約は見直すべきだ」「量産効果はないか」とコストへの疑問が相次ぎ、10%削減の判定。12年度以降10機の人工衛星打ち上げも、要求89億円を10%削減。仕分け人の中からは「人類共通の利益の話で、収益はなじまない」との弁護も。

 【競争的資金(原子力システム研究開発事業など)】原子炉や核燃料再処理分野での革新的なシステム開発を大学や企業に委託する事業(要求額55億円)は「戦略性や効率性を考えた制度が必要」として20%程度削減。産学連携による先端計測分析技術・機器開発事業(同55億円)も10〜20%削減。

 【競争的資金(ライフサイエンス)】タンパク質研究プログラム(要求46億円)は、580億円を投入した前身の研究が新薬に結び付かなかったと批判され、20%〜半額削減。がんの診断治療につながる分子イメージング研究(同7億円)は20%〜3分の1削減。感染症研究の国際ネットワーク推進(同21億円)は、厚労省との二重行政だと指摘され、厚労省との連携を考えながら廃止、または20%〜半額削減。

 【競争的資金(女性研究者支援)】育児と研究の両立のため大学や研究所が保育などの環境を整備するのを支援する事業と、女性が特に少ない理・工・農学系の採用を促す事業の2本立てで、要求は30億円。仕分け人らは環境整備には理解を示したが「研究費の直接投資は逆差別ではないか」と異議を唱えて3分の1程度を削減。

 【研究環境国際化の手法開発】外国人研究者受け入れのため、配偶者の仕事確保や生活相談窓口開設の経費で、要求は2億円。「各大学で取り組むべき話」「1大学・1地域へ1億円という形では何の構造改革にもならない」といった意見が相次ぎ、廃止と判定。

 【日本原子力研究開発機構(1)高速増殖炉サイクル研究開発】09年度中の運転再開を目指す高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の運転再開(232億円)、次段階の実証炉建設に向けた要素技術の研究開発(202億円)を要求。もんじゅ運転再開について仕分け人の評価は「見送り」「削減」などとされたが結論では反映されず、仕切り役の判断で運転再開分は削減なしとされた。残る要素技術の研究開発予算は結論を見送り。材料試験炉の研究開発(42億円)は今後の政策の中で凍結もあり得るとされた。

 【同機構(2)高レベル放射性廃棄物処分技術の研究開発・核融合炉研究開発】議論自体を持ち越し。

 ▽防衛省

 【情報システム借料、開発・改修経費のコスト削減】領空侵犯の監視やミサイル防衛(MD)を運用する新自動警戒管制システム(JADGE)にかかるリース料など853億円を要求。仕分け人はリース料の一般競争入札時に1者応札が多い点を挙げて「コスト意識に欠けている」と批判。20〜30%程度の予算削減と判定した。

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