2009年11月28日0時19分
この戦後最大の世界不況は、日本経済を牽引(けんいん)する自動車、家電、産業機械などの機械関係企業の国際競争力にどのような影響を与えているか。日本機械輸出組合では、日米欧アジアの4地域に本社を置く企業の国際競争力を調べているが、08年度の分析によれば日本企業への影響が最も大きく、国際競争力は最下位となった。これは調査を始めた98年度以降初である。
国際競争力は企業の短期的な競争力を表す営業利益率と長期的な競争力を表す世界シェアを掛けて求めている。分析対象の16業種世界約300社の売上高は約500兆円でほぼ前年度横ばいであったが、日本企業が3.8%減、米国企業が2.3%減であったのに対してアジア企業は5.9%増、欧州企業は1%増となった。この結果、アジア企業が世界シェアを拡大し、日本企業が減少させた。一方、営業利益率は、米国企業が7.2%、アジア企業が5.7%であるのに対して日本企業は1.7%と極めて低い。この二つが日本企業の国際競争力低下の要因である。
なぜ、日本企業の国際競争力が低下したのか。第一は、日本企業の事業戦略転換の遅れである。日本企業は半導体、パソコン、液晶TV、携帯電話などの製品でことごとくアジア企業に敗れてきた。これらの優位性はアジア企業に移っているのに、勝ち抜く事業戦略を築けなかったこと。第二は、日本の競争力の源泉である自動車が世界不況の打撃を最も強く受けたこと。第三は、好調な新興国市場の開拓に出遅れたことである。
我々はこの現実をしっかり受け止め、内向きの政策に終始することなく、国際競争力強化のための政策を早急に打ち出す必要がある。(創)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。