医師不足を解消するため、医学部定員の増加が必要とされているが、設備や教員の拡充がままならないため、すぐに定員を増やすことはできない。しかし、今すぐ、養成医師数を増やす方法がある。それは、医学部を廃止することである。
医師国家試験で問われる水準の医学知識は、高卒程度の基礎知識があれば、独学で習得可能である。学校教育は要らない。「国家試験は必要最小限度の知識であって、医学部の教育目標は、それよりも、ずっと上にある」と医学部教員は言うだろうが、実際には、医学部を卒業するのに必要なものは、国家試験程度の知識だけである。それだけが、医学部卒業者の品質保証となっている。

実技教育は、ほとんど行われていない。OSCEは落ちる人のいない試験である。臨床実習の実態は職場見学である。それは必要なことではあるが、医学部でなければできないということはない。つまり、医師国家試験があれば、医学部など必要ないのである。医師国家試験の受験資格を無制限とし、知識さえあれば、誰でも医師になれるようにすべきである。必要な実技は、卒後臨床研修により、合格後2年間で身につければよい。

一見、乱暴なようだが、2005年以前の司法試験は、まさに、このような制度で行われていた。旧司法試験は、学歴無制限の選抜試験だった。それで、特に問題はなかった。むしろ、学校教育を義務化した新司法試験の方が、はるかに合格者の達成水準が低い。独学でも、人は勉強をすることができるし、評価さえ適切に運用されるなら、学校教育は不要なのである。