発掘された角竜類の左上顎骨(右上)、左歯骨(右下)、右前顎骨の化石。右前顎骨は裏返した状態=26日午後、兵庫県篠山市、西畑志朗撮影
※図をクリックすると拡大します
今回見つかった化石と特徴が似ている角竜類「アーケオケラトプスオオシマイ」の模型=荒木一成さん制作、福井県立恐竜博物館提供
角竜類の恐竜化石発見について発表する、兵庫県立人と自然の博物館の三枝春生・主任研究員=26日午後、兵庫県篠山市、西畑志朗撮影
兵庫県三田市の「県立人と自然の博物館」は26日、同県篠山(ささやま)市の1億4千万〜1億2千万年前(前期白亜紀)の地層から、国内で初めて角竜(つのりゅう)類の恐竜の化石が見つかったと発表した。有名なトリケラトプスなどが属する「ネオケラトプス類」の起源となる原始的な種類だという。同時期のものでは中国とモンゴルで計5例見つかっているだけで、専門家は「世界的にも貴重な資料」と評価している。
博物館によると、角竜類は草食で、頭の骨が進化してできた襟飾りが特徴。化石は左あごの上顎(じょうがく)骨(幅42ミリ、高さ18ミリ)、右あごの前顎(ぜんがく)骨(幅29ミリ、高さ26ミリ)、歯骨(幅14ミリ、高さ16ミリ)の3種類。上顎骨には歯が5本、歯骨にも1本はえている。
歯の表面に深い縦溝があり、あごの前部には歯がないなど、角竜類の特徴が確認できるという。中国甘粛(かんしゅく)省の同時期の地層で見つかった原始的なネオケラトプス類の「アーケオケラトプスオオシマイ」と骨の形や歯の溝の深さなどの特徴が似ており、体長90センチほどの中国の化石よりやや小さいことから、体長50〜60センチの中型犬ほどの大きさではないかとみている。
アーケオケラトプスの頭部には小さな襟飾りとオウムのようなくちばしがあり、二足歩行していたとみられているという。ネオケラトプス類は東アジアが起源で、後期白亜紀にあたる9千万年前ごろに北米に渡って大型化。8千万年前から急速に進化し、6500万年前には大きな襟飾りと3本の角を持つトリケラトプスなども登場したという。
発見された地層は篠山市から同県丹波市にまたがる「篠山層群」。06年8月以降、体長十数メートルと国内最大級の草食恐竜「丹波竜」、国内最古級の哺乳(ほにゅう)類、肉食のティラノサウルス類の化石なども見つかっている。92年に旧通産省地質調査所(現・産業技術総合研究所)の放射年代測定法で、同群の年代は1億4千万〜1億1千万年前と特定されている。
化石は28日〜12月27日、博物館で展示する。神戸電鉄フラワータウン駅下車すぐ。月曜休館。(渡辺芳枝)