ニュース“いわくつき”1000円見本札がオークションに再出品5年前にネット競売に出され、「新1000円札の見本?」と大騒ぎになった日銀発行の見本札がヤフオクに再出品されていることが分かった。2009年11月25日 15時25分 更新
5年前にネット競売に出され、「新1000円札の見本?」と大騒ぎになった日本銀行発行の千円見本札が、競売サイトに再出品されていることが分かった。独立行政法人国立印刷局から流出したものとみられ、同局と警察が所有者に返還を求めているいわくつきの“商品”。今回の再出品も物議をかもしそうだ。 25日午前0時過ぎ、大手ネット競売サイト「ヤフーオークション」に出品された「野口英世日本銀行券千円みほん」は「テスト券」と呼ばれるもの。2004年11月から、それまでの夏目漱石に代わって使用が始まった野口英世の肖像画付きテスト券だ。普通の千円札と似ているが、両面に「みほん」の印字があり、通し番号もない。名実ともに見本としてしか使えない紙切れだが、コレクターの間では宝物のような存在だという。 「本来出るはずのないもの。市場に出回っているのは、おそらくこの世に1枚しかないものだろう。あり得ないものだから相場も予想はつかない」(紙幣コレクター) 実際、印刷局では使用済みのテスト券について、裁断したうえで焼却処分するなど、極めて厳重に取り扱っている。 それほどの“重要機密”がどのような経緯で流出したのか。オークションに出品した紙幣コレクターで、中国・上海在住の中国人男性によると、約6年前に上海市の業者から購入。この業者は、中国沿岸部の粗大ゴミ業者から入手したという。 入札は99万8000円からスタート。25日午前8時現在で4人が応札し、100万2000円の値が付いている。たかが1000円、それもテスト券にこれほどの値が付くのにはワケがある。実はこのテスト券、“野口英世版”の新札使用開始1カ月前にあたる04年10月に、同じ中国人男性によってヤフオクに出品され、「新1000円札見本?」と大騒ぎになったシロモノだからだ。 このときは新聞やテレビなどが大きく報じたことで、応札者が殺到。冗談半分の応札も含めて99億6000万円にまで応札額が高騰したため、ヤフーは出品ページを削除。中国人男性は取引を断念した。一方、国立印刷局も調査に乗り出し、このテスト券が滝野川工場で製造されたものと断定。「盗難により流出した」として警視庁滝野川署に被害届を提出した。 出品が取り消されたことで騒動はひとまず終息したが、警視庁は引き続き窃盗事件として捜査。中国人男性のもとには印刷局の職員や警視庁の依頼を受けた中国・公安局員らが調査のため相次ぎ訪れ、「盗品なので返還してほしい」と再三要請してきたという。 今回、中国人男性が再出品を決めたのは「盗品でないことを改めて証明したいため」というが、再び物議をかもすことは必至。しかし中国人男性は、「私は正規ルートで購入している。盗品と認識していなかったのだから、返還に応じる義務はない」とかたくなだ。 印刷局は今回の再出品について「捜査中のことで回答できかねます。関係部門が何らかの対応を取ると思う」とコメント。警視庁広報課は「捜査3課が窃盗事件として引き続き捜査している」としている。 [ZAKZAK] copyright (c) 2009 Sankei Digital All rights reserved.新着記事
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