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赤ちゃんポスト検証会議「匿名 倫理観低下の恐れ」

「こうのとりのゆりかご」(6月)

 親が養育できない子どもを匿名で託す慈恵病院(熊本市)の「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の利用状況や課題を話し合ってきた熊本県の検証会議(座長=柏女霊峰(かしわめれいほう)・淑徳大教授)が26日、最終報告を公表した。

 2007年5月の運用開始から今年9月までに預けられた子どもは51人(男児28人、女児23人)に上った。子どもの遺棄防止に効果を認めながら、「親が匿名で預ける仕組みは倫理観の低下を招く恐れがある」と指摘。慈恵病院に匿名で受け入れないよう努力することを求めた。

 報告によると、預けられた51人のうち、その後の調査や連絡で39人の親が判明。7人が家庭に戻った。親の居住地はすべて熊本県外で、九州13人、関東11人、中部6人、近畿、中国各4人など。約8割が20〜30歳代で、全体の7割が未婚、離婚者だった。預け入れた理由は「戸籍に入れたくない」「生活困窮」「不倫」などの順だった。

 同会議は、助産師による電話相談と一体的な運用を評価。「子どもが捨てられるのを防ぎ、一時的に保護する機能を果たした」などと、ゆりかごの役割を認めた。

 一方で、親に福祉・教育関係者がいたことなどから、「倫理観の劣化」を懸念。預けられた子どもが、親や生まれた土地などを知ることができないことから「親が匿名であり続ける仕組みは認められない」とした。国に対しては「一県で対応できる問題ではなく、国の政策的な関与が必要」とし、母子を保護して短期入所もできる医療機関を各都道府県に1か所程度整備することを提言した。

⇒検証会議 最終報告の要旨へ

2009年11月27日  読売新聞)

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