【マニラ=松井健】フィリピン南部ミンダナオ島マギンダナオ州で23日に州知事選の立候補届け出に向かっていた政治家の家族らが殺害された事件で、殺害された57人のうち30人が取材のため同行していた地元メディアのジャーナリストだったことが27日わかった。現場を通りかかった車に乗っていた人が犠牲者に含まれていることもわかり、無差別に殺害を実行した残虐性がさらに明らかになった。
取材中に命を落としたジャーナリストの数を集計している米国のNGO「ジャーナリスト保護委員会」によると、92年に集計を始めて以降、単独の事件で殺害された人数としては最多。これまで最も多かったのはバグダッドで06年12月に11人が殺害された事件だという。
比捜査当局は、同州内で強大な権力を握る政治家一族のアンダル・アンパトゥアン町長がライバルの立候補を阻止するために私兵や地元警察を使って殺害したとみて、殺人容疑で調べている。ほかにも一族が関与した可能性が強いと見られている。