日馬富士(左)に突き落としで敗れる朝青龍=福岡国際センター
「大相撲九州場所12日目」(26日、福岡国際センター)
横綱朝青龍に土がついた。変化した大関日馬富士に突き落とされ、土俵に転がるまさかの初黒星。全勝を守った白鵬に1差をつけられた上に、前日から訴える風邪の症状も残ったままで、連覇へ暗雲がたれこめた。白鵬は大関魁皇を上手出し投げで退け、年間単独2位となる83勝目を挙げた。
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風邪で集中力が切れたのだろうか。朝青龍が日馬富士の変化にあっけなく屈した。左に動いた相手についていけず勢いよくダイブし、土俵下まで転がり落ちた。花道を引き揚げると、リプレー映像を確認して「ピスタ」(モンゴルでの隠語、ロシア語で「クソッ」の意)と連発。右ひざを2度たたいて悔しがった。
風邪は回復していなかった。「悔しいな…。うまく回り込まれた」とつぶやく声はかすれていた。体調について聞かれると、タオルを顔に当てせき込んだ後、「ちょっと息苦しい。(だからといって)ああでもこうでもないけど」と漏らした。
関係者によると、2、3日前に医者の往診を受け、微熱があったため点滴を打ってもらったという。一方で、場所中、付き合いで夜の街に出ることもしばしば。体調管理は完全に失敗したといっても過言ではない。
場所前、年間最多勝記録更新を狙う白鵬の「壁になる」と宣言した。「最悪や。声が出ない」と肩を落として引き揚げる姿に、白鵬を止める力強さは感じられなかった。
(2009年11月28日)