ドバイショック駆ける・湾岸地域の信頼感が急低下=(1)ドバイ(ダウ・ジョーンズ)ペルシャ湾岸諸国では26日、債券価格が急落し、デフォルト(債務不履行)に備える保証料は急上昇した。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ政府が前日、政府系持ち株会社ドバイ・ワールドの債務返済延期を要請すると発表した衝撃は広がっている。 格付け各社は25日遅く、ドバイの債務格付けを引き下げた。投資家やアナリストは、返済に窮するドバイの救済に果たして湾岸諸国が乗り出すのかどうかを再検討した。 26日のロンドン市場では株式相場が急落し、アナリストはドバイ向け債権に関する懸念が原因としている。ただアナリストや銀行関係者から「ある機関投資家が突出して大きな債権を抱えている」あるいは「ドバイによってシステミックリスクが発生する」というようなシナリオはまだ出てきていない。 しかし、イスラム社会では断食明けの祝日「イード」が始まり、米国では26日が「感謝祭」であるため証券市場全体が薄商いだったことを考慮しても、湾岸地域の信頼感は根本から揺らいだ。カタールやUAEのアブダビなど潤沢な政府資金を持つ国々も投資家の信用を失った。 ドバイがデフォルトを起こすリスクに備えるための保証料は急上昇し、26日のロンドン市場では債務1000万ドルにつき年54万7000ドルとなった。24日には31万8000ドルだった。潤沢なオイルマネーを擁するサウジアラビアの政府債でさえも貸し倒れリスク保証料は26日に約20%上昇した。 またドバイの地方銀行へのエクスポージャーについても市場は神経質になっている。ドバイの大手銀であるマシュレク銀行のデフォルト保証料はロンドン時間の午後までに、前日25日のニューヨーク市場の取引終了時から2倍超の水準に上昇した。 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ドバイの大手銀4行を格下げの可能性があるとしてクレジットウオッチに指定した。ドバイ・ワールド向けの債権を多額に保有することなど、ドバイ関連の債権を問題視した。 世界的に市場を動揺させているドバイ政府の25日の発表は、不動産や港湾などへの投資を手掛けるドバイ最大の企業ドバイ・ワールドの債務返済について6カ月以上の延期を要請するというものだった。 こうしたいわゆるスタンドスティル(債務返済の一時停止)の発表は、25日の地元のビジネスアワー終了後に行われ、イスラム社会が祭日の連休に入る直前だった。これまではドバイの財務状態については政府当局者も不安はないとし、さらにドバイとアラブ首長国連邦政府が互いに資金不足の穴埋めで協調する方針で一致していたため、今回の発表は銀行関係者やアナリストにとって全く意外だった。 〜(2)へ続く〜 -0- Copyright (c) 2009 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved. 米DJ記事一覧
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