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山梨大医学部付属病院:県内初の院内助産室 産科医の不足補う /山梨

 山梨大医学部付属病院(中央市下河東、島田真路病院長)が26日、県内で初めて院内助産室を開設した。国立大付属病院としても初。健康な妊婦を助産師が担当することで、医師がリスクの高い出産に集中できるメリットがあり、産科の医師不足を補う方策として注目される。【沢田勇】

 助産師は看護師の上位資格で、正常な出産なら助産師のみで対応することができる。これまでも同病院には助産師が妊婦の健診や保健指導を行う「助産師外来」(07年12月開設)があり、きめ細かいケアが好評だった。

 同院では年間450~500件の出産がある。将来は施設を充実させた上で院内助産だけで同200~300件の出産を目指す。

 産科病棟に設けられた院内助産室は、医療スタッフ、新生児、母親、家族の4者で命を守るという思いを込めて「よつ葉ルーム」と名付けられた。落ち着いて出産できるようにと間接照明を導入、壁や天井も白を基調とし、通常の分娩(ぶんべん)室よりも明るい雰囲気にした。BGMを流すこともできるという。

 出産リスクの低い、来年7月以降出産予定の妊婦を来月から受け入れる。当面は経験豊富な助産師7~8人が対応する。

 島田病院長は「正常出産を助産師が扱うことで、危険性の高い出産に医師を集中させることができる。また、万が一、助産室での出産で危険な状態になったとしても、すぐに医師が対応できる」と院内助産室の利点を説明する。

 鈴木久美子看護部長は「この助産室によって、病院がお産のメッカになってほしい」と話している。

   ◇  ◇

 県医務課によると、出産可能な医療施設(助産院を除く)があるのは、県内全28市町村のうち甲府、中央、富士吉田、富士河口湖、昭和、甲斐、山梨、笛吹の8市町のみ。施設数自体も、04年4月には24施設あったが、08年4月には16施設まで減った。

 山梨大医学部付属病院によると、増加する医療訴訟などが原因で産科医のなり手が減ったことに加え、大学病院がリスク回避のため、従来は産科医を派遣していた一般の病院から引き揚げを図っていることなどが産科医不足の背景にある。

 厚生労働省の調査によると、産婦人科と産科の県内の医師数は00年度(96人)から減少が顕著になり、06年末は78人となった。

 産科医が不足すると、医師1人あたりの負担が大きくなるだけでなく、病院も受け入れが困難になる。山梨大医学部付属病院は来年6月末まで出産の予約でいっぱいという。

毎日新聞 2009年11月27日 地方版

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