防災と防犯、交通安全をテーマにした「だいじょうぶ」キャンペーン(キャンペーン実行委主催)が共催する啓発イベント「BO-SAI2009in豊洲~EXPO version・Part2」(「BO-SAI2009in豊洲」実行委員会主催)が10月3、4日、東京都江東区の「アーバンドックららぽーと豊洲」で開催された。参加者自作の災害用シェルターで宿泊を体験する「サバイバルキャンプ」や、実用的な「防災の技」について学ぶ体験ワークショップなどが行われた。
楽しみながら防災について学ぶ8月末の「Part1」に続き、「Part2」では災害時を想定した体験とともに実践的な知識を学んでもらうねらいがあった。サバイバルキャンプには、事前に申し込んだ8組27人が参加。初日3日の午後から始まったシェルターの製作は、建築デザイナーや大学の研究室が考案したオリジナルのデザインをもとに梱包(こんぽう)材のビニールシートを使ったテント、割りばしと輪ゴムで組みあげたシェルター、ビニール袋や物干し竿(ざお)、古着を使ったテントなど計10基が中庭エリアに組み立てられた。
設計者の指導を仰ぎながら製作に取り組み、夕刻が近づいてシェルター内の明かりが点灯すると、エリア一帯は幻想的な“テント村”に。ショッピングセンターに足を運んだ買い物客も興味深そうに見入っていた。
参加者は、レトルト食品や缶詰など非常食の夕食を済ませて、阪神大震災で圧死寸前のところを救出された水口福弘さんの体験談を聴講。ボランティアの語り部として活動を続けている水口さんは、日ごろからの備えや、避難生活で必要な助け合いの精神について訴えた。家族ぐるみで参加した父親は「シェルター宿泊と震災の体験談で災害時についてのイメージができた。家に帰って子供と備えについて考えたい」と話していた。
2日目は、災害時に役立つ「防災の技」を体験するワークショップがメーン。応急手当て、ロープワークの実践教室や災害用トイレのデモンストレーションなど、アウトドア・サバイバルの知識・ノウハウに学ぶ技術教室が開かれ、参加者はスタンプラリー形式で巡回するなどにぎわった。
「アーバンドックららぽーと豊洲」センターエントランスの「だいじょうぶ」キャンペーンブースでは、ゲーム感覚で防災・防犯について学ぶワークショップを開催。震災時に揺れる家屋の構造を分かりやすく学ぶための組み立て教材「すじかいきょうだい」(協力=シュアティ・マネジメント協会、あんふぁん)が人気を集めていた。
また、Part1に引き続き自動体外式除細動器(AED)の体験講習を開催。大勢の人が心肺蘇生についての基礎知識やAEDの使用法を学んだ。
「BO-SAI2009in豊洲」に特別協賛しているNTTデータ(東京都江東区)は、地震などの災害や、新型インフルエンザの流行など緊急時のBCP(業務継続計画)戦略に向けてIT技術を使い、場所や時間にとらわれない「テレワーク」を提案している。
これは、在宅勤務者の自宅と外部オフィスを結んだシステムである。また、あらかじめ事前の対応を分析した上で、危機発生時に責任者へ最適な指示を出し、関係者の情報を自動表示する「緊急時指揮支援システム」を開発した。地震・台風などによる建物・設備の「直接被害」をきっかけにした業務停止など「間接被害」の減少を目指している。詳しくはhttp://www.ntt.co.jp/csr/2009report/safety/activity05.html
「だいじょうぶ」の輪が、全国で広がっている。
昨年12月に啓発事業を展開した岡山県では、東京海上日動岡山支店が、県の推進する「子供の安心・安全見守り宣言」に参加することとなった。今後、キャンペーンのオリジナル教材紙芝居「かえりみち」を活用して県内の小学校で防犯教室を実施する。
本年度から取り組んでいる公募事業では、東京都・根津小学校と愛知県幸田町で、「地域安全マップ教室」を開催した。
今月12日に幸田町・大草防犯夜廻(よまわ)り隊主催で開催されたマップ教室(特別協賛・明治安田生命)は、子供たち52人が参加、立正大学の小宮信夫教授と立正大学犯罪社会学研究会の指導により、「地域の安全な場所、危険な場所」を見つけ、マップ作りに取り組んだ。地域住民の協力による炊き出しが用意された昼食会場では、駐在所勤務の警察官や在住ブラジル人たちも参加して交流の場となった。小宮教授を囲んだ防犯意見交換会も開かれ、能勢博史・大草区長は「安心安全な街づくりに向けて、より積極的に取り組んでいきたい」と話した。
公募事業は、自治会、小学校とともに、全国で順次開催していく予定。
50年前の伊勢湾台風(1959年9月26日)によって5000人を超える犠牲者を出した中部地方で、被災地の名古屋市や岐阜県養老町、三重県木曽岬町を巡るウオークイベント「伊勢湾台風の足跡を訪ねて」がこのほど行われた。
伊勢湾台風から学んだ教訓を次世代へ伝えようと国土交通省中部地方整備局、社団法人・中部建設協会、毎日新聞社などでつくる実行委員会の主催。節目の50年となる9月26日は、高潮で村域(当時)のほとんどが水没して死者328人を出した三重県木曽岬町の町立木曽岬中の生徒約200人が参加した。
生徒たちは犠牲者を合祀(ごうし)した木曽岬神社や復興記念の石碑、その後整備された堤防などを見学した後、災害を体験した町内の人から当時の様子などを聞く「語る集い」に参加した。生徒たちは「どうやって身を守るか、普段から考えてほしい」という訴えに熱心に耳を傾けていた。
岐阜県養老町、名古屋市港区の私立高校でも台風当時の地域を巡る親子教室や被災者の体験談を聞く催しが行われた。
==============
【主催】「BO-SAI2009in豊洲」実行委員会
【共催】東京ガス、「だいじょうぶ」キャンペーン実行委員会
【後援】東京都、江東区、江東区教育委員会
【特別協賛】IHI、NTTデータ、フクダ電子、三井不動産、UR都市機構
【協力】あんふぁん、小川キャンパル、国士舘大学、三協フロンテア、シュアティ・マネジメント協会、TBSラジオ954、日本セイフティー、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター、深川消防署、丸紅フットウェア、みつや園、ゆりかもめ
【会場構成】みかんぐみ
【アートディレクション】文平銀座
【総合プロデュース】プラス・アーツ
==============
【主催】「だいじょうぶ」キャンペーン実行委員会
【共催】全国防犯協会連合会、全日本交通安全協会、原子力安全・保安院、日本消防協会、全国防災協会、日本河川協会、日本道路協会、都市計画協会、全国警備業協会、日刊建設工業新聞社、ラジオ福島、毎日新聞社
【後援】内閣府、警察庁、総務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、消防庁、海上保安庁、東京都、NHK
【協賛】NTTデータ、NTTドコモ、国際警備、JR東日本、セコム、セントラル警備保障、千葉科学大学、東急グループ、東京海上日動、トヨタ、フクダ電子、みずほフィナンシャルグループ、三井不動産、明治安田生命、UR都市機構
【協力】地域安全マップ協会、プラス・アーツ、MIPスポーツプロジェクト、情報セキュリティ研究所
毎日新聞 2009年10月25日 東京朝刊