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日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)
2009.11.27
事業仕分け 思いやり予算 切り込まず 基地従業員 給与は見直し要求
カテゴリ 在日米軍出典 読売新聞 11月27日 朝刊
記事の概要
政府の行政刷新会議は26日、2010年度予算の概算要求から無駄を洗い出す「事業仕分け」の後半日程作業(3日目)を行った。
在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)のうち、基地従業員の給与に充てる労務費(1233億円)について、地域事情に応じた給与体系にしていないなどとして、この後の日米両国の特別協定改定や労使交渉の中で「見直し」を求めた。
しかし、今回の要求額は事実上そのまま認める判断をした。
在日米軍基地では、司令部の事務員や、レストランやゴルフ場などの施設職員として2万5500人が働き、そのうち約2万3000人の給与を日本政府が負担している。
その給与水準は国家公務員の給与体系に準じている。そのため東京近郊では地域手当が出ているが、広島県呉市と沖縄県が同額になり、仕分け人から勤務地や職種ごとに民間賃金を参照して反映すべきと指摘が出た。
また、パトリオットPAC3を全国に拡大配備する関連予算については、政府が新たな「防衛計画の大綱」策定を1年先送りしたことを理由に、「政治判断を待つ」とした。
防衛省の自衛官増員をめぐる議論では、一部業務を民間委託したのに、委託費を人件費削減と同額にしていたため、コスト削減につながらなかったことが判明。枝野・民主党元政調会長は、全省庁に定員削減の効果を点検する考えを示した。
政府の行政刷新会議は26日、2010年度予算の概算要求から無駄を洗い出す「事業仕分け」の後半日程作業(3日目)を行った。
在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)のうち、基地従業員の給与に充てる労務費(1233億円)について、地域事情に応じた給与体系にしていないなどとして、この後の日米両国の特別協定改定や労使交渉の中で「見直し」を求めた。
しかし、今回の要求額は事実上そのまま認める判断をした。
在日米軍基地では、司令部の事務員や、レストランやゴルフ場などの施設職員として2万5500人が働き、そのうち約2万3000人の給与を日本政府が負担している。
その給与水準は国家公務員の給与体系に準じている。そのため東京近郊では地域手当が出ているが、広島県呉市と沖縄県が同額になり、仕分け人から勤務地や職種ごとに民間賃金を参照して反映すべきと指摘が出た。
また、パトリオットPAC3を全国に拡大配備する関連予算については、政府が新たな「防衛計画の大綱」策定を1年先送りしたことを理由に、「政治判断を待つ」とした。
防衛省の自衛官増員をめぐる議論では、一部業務を民間委託したのに、委託費を人件費削減と同額にしていたため、コスト削減につながらなかったことが判明。枝野・民主党元政調会長は、全省庁に定員削減の効果を点検する考えを示した。
コメント
政府内で「思いやり予算」の内情が議論された。たとえ今回は米軍基地の日本人労働者の賃金だけあっても、「決して批判は許さない」と聖域化した防衛費予算の中でも、特に絶対化していた分野なのである。
今までにこの実態を取材すれば、「思いやり予算」は日米軍事同盟の潤滑剤で、それに反対したり批判することは日本人なら許されないこと、と、防衛や外務官僚、それに防衛利権・基地利権の甘い汁を吸う国防族議員から言われ続けてきた。
昨日は、政権が交代すれば、ここまでできるのかと驚いた。今までの防衛利権に関係なければ、ここまで正論が言えるのかと正直嬉しい。
今まで、どうしてこのような無茶が延々とできたのか。昨夜は今までのいろいろな光景を思い出しつつ、その根本原因を考えた。
「思いやり予算」の聖域化と、無秩序な膨脹を許した人たちは、@自己検証能力と批判精神に欠け、よりよき現状と未来を作ろうとする意欲が低かったと思う。A安易に批判や改革を語って、組織から孤立することを恐れ、今までの流れを単純に守った。Bそして一番大事なのことは、愛国心に欠けていたことだ。日本や自衛隊に対する愛国心よりも、自己の利益や名声(地位)を求め、「思いやり予算」体制に迎合して実を得ようとした。
もし私が、この「思いやり予算」を賛美して、この予算の拡充と増額を主張すれば、防衛や外務官僚から高く評価され、国防族議員から先生扱いをされ、権力の側から多くの便宜が提供されたと思う。しかしそれは私の愛国心が許さなかった。
私には「思いやり予算」こそ、将来の日米同盟を悪化させるネジレの象徴であると思っていた。在日米軍基地の中に入れば、広い芝生の庭付き将校ハウスの一軒家住宅が広がり、近くの兵士用高層マンションには「億ション並」という部屋が「思いやり予算」で用意されていた。
米軍主催のパーティーでは、グラスを運ぶウェーターから、料理を準備するコックさん、さらにはテーブルに並んだナイフやフォーク、これらすべてが日本政府の「思いやり予算」で賄われているのだ。そのようなパーティーに参加した自衛官の気持ちになって欲しい。そこまで日本政府が負担することに惨めさを感じないか。
これが「思いやり予算」が描く日米同盟の姿だったのだ。これは、将来、日米同盟に悪影響を与えると思い続けてきた。日米が対等の関係とはかけ離れていた。
しかし残念なこともある。それはPAC3の議論を避けたことである。「防衛問題や兵器は、専門的、政治的すぎる」という言葉は許されない。そのような政治の対応が軍事の暴走を招くことが歴史で証明されている。
来年の「事業仕分け」では、兵器の調達を含めて、防衛費の無駄の排除をお願いしたい。
※本日、11時25分からのテレビ朝日「スクランブル」にこの問題で生出演します。出演は12時頃になると聞いています。
政府内で「思いやり予算」の内情が議論された。たとえ今回は米軍基地の日本人労働者の賃金だけあっても、「決して批判は許さない」と聖域化した防衛費予算の中でも、特に絶対化していた分野なのである。
今までにこの実態を取材すれば、「思いやり予算」は日米軍事同盟の潤滑剤で、それに反対したり批判することは日本人なら許されないこと、と、防衛や外務官僚、それに防衛利権・基地利権の甘い汁を吸う国防族議員から言われ続けてきた。
昨日は、政権が交代すれば、ここまでできるのかと驚いた。今までの防衛利権に関係なければ、ここまで正論が言えるのかと正直嬉しい。
今まで、どうしてこのような無茶が延々とできたのか。昨夜は今までのいろいろな光景を思い出しつつ、その根本原因を考えた。
「思いやり予算」の聖域化と、無秩序な膨脹を許した人たちは、@自己検証能力と批判精神に欠け、よりよき現状と未来を作ろうとする意欲が低かったと思う。A安易に批判や改革を語って、組織から孤立することを恐れ、今までの流れを単純に守った。Bそして一番大事なのことは、愛国心に欠けていたことだ。日本や自衛隊に対する愛国心よりも、自己の利益や名声(地位)を求め、「思いやり予算」体制に迎合して実を得ようとした。
もし私が、この「思いやり予算」を賛美して、この予算の拡充と増額を主張すれば、防衛や外務官僚から高く評価され、国防族議員から先生扱いをされ、権力の側から多くの便宜が提供されたと思う。しかしそれは私の愛国心が許さなかった。
私には「思いやり予算」こそ、将来の日米同盟を悪化させるネジレの象徴であると思っていた。在日米軍基地の中に入れば、広い芝生の庭付き将校ハウスの一軒家住宅が広がり、近くの兵士用高層マンションには「億ション並」という部屋が「思いやり予算」で用意されていた。
米軍主催のパーティーでは、グラスを運ぶウェーターから、料理を準備するコックさん、さらにはテーブルに並んだナイフやフォーク、これらすべてが日本政府の「思いやり予算」で賄われているのだ。そのようなパーティーに参加した自衛官の気持ちになって欲しい。そこまで日本政府が負担することに惨めさを感じないか。
これが「思いやり予算」が描く日米同盟の姿だったのだ。これは、将来、日米同盟に悪影響を与えると思い続けてきた。日米が対等の関係とはかけ離れていた。
しかし残念なこともある。それはPAC3の議論を避けたことである。「防衛問題や兵器は、専門的、政治的すぎる」という言葉は許されない。そのような政治の対応が軍事の暴走を招くことが歴史で証明されている。
来年の「事業仕分け」では、兵器の調達を含めて、防衛費の無駄の排除をお願いしたい。
※本日、11時25分からのテレビ朝日「スクランブル」にこの問題で生出演します。出演は12時頃になると聞いています。