1960年代に造られたモンブランは私にとって「最も思いの深い」製品達である。
私がモンブラン日本総代理店に入社したのは、1977年。
当時の修理部門、アフターサービスセクションである。まだ多少60年代の製品も残ってはいたが、修理に戻って来る製品達には60年代の製品達が多かった。修理をすればする程、思いの込められた製品達であることを実感させられた。
1979年にモンブラン社への第一回出張で50歳代の社員の方々と親しく話す機会を得た。親しく話すと言っても独語も英語も出来ない私は通訳を通してではあるのだが。ただ彼等の表情を見ていると、モンブランに対する愛が溢れ、自分の仕事に対する妥協のない哲学がある人達だということがすぐに判った。
こんな人達が設計し、試作し、造り上げた製品達に悪いモノなどあろう筈がない。そんな人達が造った1960年代の製品達である。
ケーズファクトリーの”ワイルドスワンズ”ではないが、製品がもの語り、更にそれらを造った人達の人柄に触れることにより、より一層の愛情が生まれるのであろう。
今回のNO.72は先週のNO.74よりもひと回り小さな万年筆。このモデルはワイシャツのポケットに差しても、邪魔にならない。使う用途によってNO.74とNO.72を使い分ければ、この2本で充分に用が足りるのではないかと、私は思う。
では、先週と画像上は変わらないが、我慢してみて欲しい。
先週のNO.74と今週のNO.72のMONTBLANCの刻印を比較してみよう。少し、いや大分違うことが判るだろう。同じ金張りキャップのこれらのモデルも古い、新しいがある。
左が先週のNO.74 右が今週のNO.72の刻印。
NO.74の方が新しい刻印だが、NO.74でも古い刻印のものもある。
最後にNO.74とNO.72の大きさの違いを画像でご覧いただく。
色により大きさの違いを感じていただくことを防ぐ為、私の好きな緑色にした。
キャップ・クリップ: | 金張り |
胴軸・首軸・尻軸: | 樹脂 |
ペン先: | 18金 |
太さ: | キャップ:12.0mm 胴軸:11.7mm |
長さ: | 129.5mm 筆記時:144mm |
重さ: | 17.6g |
インク吸入量: | 1.4CC |
ボディの色: | 黒・赤・緑・灰 4色 |
■ 製造年代: 1960〜69年
■ 最終販売価格: 1975年2月 ¥16,000