2009/11/26(木) 23:34:30 [民主党]

官主導の、検証なき仕訳「政治ショー

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GX「廃止」は見直し=税金投入額の資料に誤り−平野官房長官
 平野博文官房長官は26日午後の記者会見で、政府の行政刷新会議が進める「事業仕分け」で「廃止」と判定された官民共同開発の中型ロケット「GX」計画について、事業仕分けの判断材料とされた資料の税金投入額が「事実ではない」と明らかにした上で、30日にも開く刷新会議で判定を見直す方向で議論したいとの見解を示した。時事通信Web) 11月26日付記事より参照のため抜粋引用/写真は産経新聞紙面(切り抜き)11月26日朝刊(1面)より参照のため引用

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財務省のシナリオで「見直し」

 行政刷新会議と称する組織によって行われている「事業仕訳」は、財務省のシナリオにもとづくものであり、その「見直し」規模も全体の3分の1。しかも、今年限り、となる状況にあることが指摘されている。民主党が官にメスを入れる、との公約「履行」にも映るが、その実は、「官」に誘導されての動静に過ぎず、それならば、と。民主党が新政権の支持率維持のためのパフォーマンスに利用している意味合いが色濃い。言葉を換えれば、メディアを駆使した政治ショーの意味合いが異様に強い。何のための「政治ショー」かと問えば、日本の国力弱体化を謀(はか)る同党の基本理念のもとに、直接的には、明年の参議院選挙を視野に入れた上での舞台仕かけである、と。こう認識すれば事の次第が判りやすくなる。

 その典型の1つ指摘し得る事例が表題の、「官民共同開発の中型ロケット「GX」計画の廃止」の見直し方針ある。云く、「事業仕分けの判断材料とされた資料の税金投入額が「事実ではない」と明らかにした上で、30日にも開く刷新会議で判定を見直す方向で議論したいとの見解を示した」、(時事通信)とする実例である。そもそも、判断材料とした「資料」(表題)が、誰が作成し、どこから出てきたものなのか。その「裏方さん」を、産経紙面(11月26日朝刊)にあらためて確認できる。云く、「財務省は「仕分け人」用資料に「ロケット本体開発に700億円もの巨額の税金が投入されてきた。その点からしても、研究は凍結(廃止)することが妥当」と記載した」と。続けて、「財務省主計局の担当者は「700億円は文科省から聞いた」と説明。文科省担当者は「700億円の数字が主計局資料にあるのは当日知った」としている」(同)とある。

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時事通信Web) 11月26日付記事
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 いわば、「官」のみなさまが提示する「数値」と「これは無駄だ」とするご意見をもとに、民主党は「政治ショー」を演じていることが判る。演じる限り、党独自に精査する必要もない。その中身の議論はどうでもよい。とにかく、蓮舫(れんほう)氏や菊田真紀子氏、といった、テレビ映りが良さそうな議員を前面にして、“裁定”をさせてみせる。「官」に“斬り込む”民主党の“清新さ”を演じればよい。その「見せ場」をメディアがニュース報道で流す。事情を知らない国民は、「ほう、民主党もやるじゃないか」と。こうした印象を抱き、政権政党の鳩山代表、小沢幹事長らの、政治家の存在そものもが問われる疑惑がそぞろに聞こえて来ても、「まあ、官僚社会を糾せば良いのではないか」、とおかしな方向へ誘導されるわけである。
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朝日新聞の虚構報道

 表題の事例では、「廃止」が決まったこの17日「仕訳作業」に際して、たとえば、朝日新聞の夕刊は、「行政刷新会議の「事業仕分け」は5日目の17日、文部科学省の所管で官民共同開発を目指す中型ロケット「GX」(概算要求額58億円)について、来年度の予算計上を見送り、事業を「廃止」するよう求めた」(紙面)として、こう報じている。

 紙面に云く、「液化天然ガス(LNG)を使った新型エンジンの開発に見通しが立たず、今後も巨額の国費を投入して開発を続けることは「不適切」と判断した」(同)と。 また云く、「エンジン開発にはこれまでに、民間出費分を含めて約700億円を投入。450億円で開発できるという当初の見込みから大きく膨らんでいる。完成させるには「約800億〜1400億円の追加投入が必要」とされている」(同)、と記している。この紙面からは、あたかも、この“無駄”を民主党が独自に調べ上げ、冷静に廃止を決めたかの印象を受けがちだが、いかにも朝日新聞らしい、いくつも「事実」を外した記事、と指摘できよう。

 先ず、朝日紙面の「見通しが立たず」、とは「事実」ではない。すでに開発の見通しがあり、さればこそ、「GX打ち上げを担当する米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社から、少なくとも2、3機のGX使用の意向が政府の宇宙開発戦略本部などへ伝えられていた」(産経紙面)、と指摘される事実が存在している。また、朝日紙面の費用規模についても事実ではない。あたかも、エンジン開発に要する費用のすべてが税金から投入されるかの印象報道であった。しかし、その数値の「700億円」では、そのうち430億円をIHI(石川島播磨重工業)などの民間企業による投資であり、残る270億円が必要とする予算である。それも、上述のような先行的な発注予約が各国から集まれば、何倍にも回収できるはずである。

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朝日新聞紙面(切り抜き)11月17日夕刊(1面)
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 商業メディアとして、たとえ報道の上で、情報(この場合は財務省)に誤りがあったとしても、産経紙面のようにその「誤り」であった部分を詳細を記すのがあるべき常道ではないか、と拝見する次第だが、朝日新聞の場合は、今般もそれが見当たらないのが、それこそ印象的である。
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日本の誇れる技術

 表題の事項について、「GXは、液化天然ガス(LNG)を燃料とする新型エンジン利用の中型商用ロケット」、であるとして、産経紙面はこう結んでいる。云く、「平成15年度に開発が始まった。国産のH2ロケットが打ち上げられない際の代替や中型衛星の打ち上げに適している。情報収集衛星の緊急打ち上げなど安保分野での活用も想定されていた。同エンジンは凍りにくいLNGを使う先進技術で、将来の深宇宙探査への活用も期待され、中国、韓国、ロシアも研究を進めている」(紙面)とある。ロシア、中国などがロケットに使用している固形燃料の廃棄に含まれる毒性に比べれば、液化天然ガス(LNG)を使用するGXの排気には毒性が極めて少ない。

 この9月の、大型のH2ロケット(液体水素と液体酸素による液体燃料使用)の打ち上げ成功は、世界に先駆けての快挙であり、ノズルをはじめとする液燃エンジンのノウハウはGXにも共有されており、開発と実機打ち上げに成功すれば、同じく世界に先駆けての快挙となり得るプロジェクトである。気象、観測衛星など、商業的な平和利用の上で国の糧となり、他国より少ない予算であっても同等かそれ以上の実証的な成果を示して来た日本の先進技術のレベルを維持・発展をリードする上で欠かせないプロジェクトの1つである。そのための270億円の予算が高い、というならば、である。むしろ、所詮は日本のためにならず、闇政治と闇法案、政治ショーに明け暮れる民主党の政党助成金と、関わる歳費こそを仕訳してでも、達成すべき事柄ではないか。
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 より多くの有権者方々には、民主党とメディアが演じる最低の「政治ショー」に欺かれることなく、猿芝居と見抜かれることを願って止まない。

平成21年11月26日

博士の独り言
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20091126010 
路傍の花(筆者)
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