快挙の影に、なんと聖子ちゃん! 第3節を迎えたサッカー欧州チャンピオンズリーグ(CL)で、1899年のクラブ創設以来、公式戦のアウェーで初めてスペインの強豪レアルマドリードを破ったACミランのレオナルド監督(40)は「戦術や選手起用がどうのこうのという試合ではなかった。これは気迫以外の何もでもない」と喜んだ。
現役時代の1994年から2年間、Jリーグ鹿島に在籍したレオナルド監督は「レオ様」の愛称で人気選手だった。2003年に引退してからミランの副会長まで昇進したが、その右腕には『感動』と漢字でタトゥーを入れているほどの日本びいき。今季からからチームの財政難もあり「いつのまにかミランの監督になっていた」(本人談)と、40歳を迎えた今年、イタリアの名門で自身初の監督業に勤しんでいる。
日本のサッカーの監督とは比べものにならないプレッシャー。さらにシーズンインしてからはチームの不振が続き、FWパトやMFロナウジーニョなど「ブラジル勢」中心の選手起用に、「レオナルドではもう限界。勝ってこない」とイタリアでは「解任報道」の毎日だった。それでも本人は「自分から辞めることは絶対にない」と力を込めていた。
なにせ、今季100億円を超える移籍金でマンチェスターユナイテッドからC・ロナウドを、ミランからは90億円以上をかけてカカを獲得するなど世界が驚く大型補強を行ったレアルマドリードに、CLのアウェーでの勝利。これが200年続くACミランの歴史で初めての快挙とあって、まさに結果で自身の「解任」の流れを一気にかき消した格好。
そんなレオナルド監督の息抜きが、なんと「カラオケ」だ。ミラノでは自分の運転する車の中で必ず聞くのは『松田聖子』という。一番のお気に入り曲は「あなたに逢いたくて」で、イライラすることがあると必ず癒しを求めて、「あなたに〜逢いたくて〜」と大声で歌う。そんなレオ様のナマ歌を聴いた関係者によると、「向こうの時間で早朝ですよ。携帯からかけてきて、(日本語で)あなたに〜って歌っていました。すごく癒されると言ってました。これがまた本家の聖子ちゃんよりうまいんだから」。がけっぷちのレオナルド監督を救った聖子ちゃんの歌声。今年47歳を迎えたとはいえそのパワーは永遠に不滅なのである。(夕刊フジ編集委員・久保武司)