科学技術立国日本の学者達が鳩山政権に警笛を鳴らす
政府が行う事業仕分けで科学技術関連の予算がどんどん減らされることに対して、多くの方が批判の声を上げている。
まずはノーベル賞受賞者の野依博士。
MSN産経ニュースより
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091125/stt0911251106000-n1.htm
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ノーベル賞野依氏 「歴史の法廷に立つ覚悟あるのか」 事業仕分けのスパコン予算カットに
ノーベル化学賞受賞者で、理化学研究所の野依(のより)良治理事長は25日午前、自民党の文部科学部会に出席し、政府の行政刷新会議の事業仕分けで、次世代スーパーコンピューターの開発予算が事実上凍結されたことについて「不用意に事業の廃止、凍結を主張するかたには将来、歴史という法廷に立つ覚悟ができているのか問いたい」と述べ、厳しく批判した。
野依氏は「科学技術振興や教育はコストではなく投資。コストと投資を一緒くたに仕分けするのはあまりに見識を欠く」と強調。「仕分け人」が「(スパコンは)世界一でなくともいい」と発言したことに関しても「中国やアメリカから買えばいいというのは不見識だ。科学技術の頭脳にあたる部分を外国から買えば、その国への隷属を意味することになる」と糾弾した。
文科部会では、平成22年度予算編成で、科学技術関連予算の拡充を求める決議を採択した義家弘介部会長が25日午後にも政府に申し入れる。
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野依博士の仰るとおりだと思います。
「不用意に事業の廃止、凍結を主張するかたには将来、歴史という法廷に立つ覚悟ができているのか問いたい」
「科学技術振興や教育はコストではなく投資。コストと投資を一緒くたに仕分けするのはあまりに見識を欠く」
「中国やアメリカから買えばいいというのは不見識だ。科学技術の頭脳にあたる部分を外国から買えば、その国への隷属を意味することになる」
事業仕分けにはマイナス面もプラス面も両方あると思うので、一概には否定しない。
ですが、するならばもっと丁寧にすべきだろうと思います。数名の議員と民主党政権が勝手に選んだ民間人からなる仕分け人だけで国の行く末を決めるような事業仕分けを行うのは間違いで、暇を持て余している民主党議員を総動員してもっときめ細かな事前調査をして事業仕分けに掛かるべきだろうと思います。
担当の議員数が少ないからとか、時間が足りないからとかいうのは理由にならない。
事業仕分けの最大の問題は民主党政権がどのような国家を目指すのかという事が明確になっていない事にある。
つまり国家戦略室などというものが、完全に名前だけであることが問題なのです。
もっともその国家戦略策定の推進役である国家戦略担当相に菅直人などという国家意識が著しく乏しい者を据えている時点で終わっている。
科学技術関連の事業仕分けに批判の声を上げているのは野依博士だけではない。
たとえば、東京大学、京都大学など9つの大学の学長が共同で記者会見を声明を出している。
しんぶん赤旗より
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-11-25/2009112501_01_1.html
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事業仕分け 科学技術予算削減
9大学長が“異議”
連名の声明 学術文化の喪失憂慮
政府が進めている事業仕分けのなかで、科学技術予算の大幅削減が提案されていることに対して、東京大学など9大学の学長が24日、東京都内で記者会見を開き、連名の声明を発表しました。
声明は、日本の大学予算はOECD(経済協力開発機構)諸国中最低水準にあると指摘。「さらに削減されれば、科学技術立国の基盤の崩壊、学術文化の喪失に至ることを強く憂慮する」と訴えています。
事業仕分けの進め方について、「現下の論議は、学術や大学のあり方にかんして、世界の潮流とまさに逆行する結論を拙速に導きつつあるのではないか」と批判。「それによって更なる国家の危機を招くのではないか」としています。
そのうえで、(1)公的投資の明確な目標設定と継続的な拡充(2)研究者の自由な発想を尊重した投資の強化(3)大学の基盤的経費の充実と新たな枠組みづくり(4)若手研究者への支援(5)政策決定過程における大学界との「対話」の重視―の5項目について具体的要望を提示しています。
声明を発表した9氏は、佐伯浩・北海道大学長、井上明久・東北大学長、浜田純一・東京大学長、浜口道成・名古屋大学長、松本紘・京都大学長、鷲田清一・大阪大学長、有川節夫・九州大学長、白井克彦・早稲田大学総長、清家篤・慶応義塾長。
記者会見で清家氏は、「気候変動、少子化などで人類社会の持続可能性に赤信号がともる中、日本の発展だけでなく、世界に貢献しないといけない。長期的な基礎研究は非常に重要だ」と強調しました。
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わざわざ新聞にのせWebに掲載すると言う事は共産党も、科学技術予算の削減を憂いているという事なのでしょう。
私には民主党よりも共産党のほうがよほどまともな政党に思える。
さらに、ノーベル賞受賞者・フィールズ賞受賞者がこのような声明を出した。
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学術および科学技術に関する「事業仕分け」によって現在進行中の科学技術政策決定手順について深く憂慮するノーベル賞受賞者、フィールズ賞受賞者をはじめとするわれわれ研究者が急きょ集い、討論した結果、以下のような声明を発表することに決した。
【声 明】
資源のない我が国が未来を持つためには、「科学技術創造立国」と「知的存在感ある国」こそが目指すべき目標でなければならない。この目標を実現するために、苦しい財政事情の中でも、学術と科学技術に対して、科学研究費補助金を始め、それなりの配慮がなされてきた。このことを私たちは、研究者に対する国民の信頼と負託として受け止め、それに応えるべく日夜研究に打ち込んでいる。
学術と科学技術は、知的創造活動であり、その創造の源泉は人にある。優秀な人材を絶え間なく研究の世界に吸引し、育てながら、着実に「知」を蓄積し続けることが、「科学技術創造立国」にとって不可欠なのである。この積み上げの継続が一旦中断されると、人材が枯渇し、次なる発展を担うべき者がいないという《取り返しのつかない》事態に陥る。
現在進行中の科学技術および学術に関する予算要求点検作業は、当該諸事業の評価において大いに問題があるばかりではなく、若者を我が国の学術・科学技術の世界から遠ざけ、あるいは海外流出を惹き起こすという深刻な結果をもたらすものであり、「科学技術創造立国」とは逆の方向を向いたものである。
学術と科学技術に対する予算の編成にあたっては、このような点検の結論をそのまま反映させるのではなく、学術と科学技術の専門家の意見を取り入れ、大学や研究機関運営の基盤的経費や研究開発費等に関する配慮を行い、将来に禍根を残すことのないよう、強く望むものである。
平成21 年11 月25 日
【発表者】
江崎 玲於奈 (1973年 ノーベル物理学賞受賞者)
利根川 進(1987年 ノーベル生理学・医学賞受賞者)
森 重文 (1990年 フィールズ賞受賞者)
野依 良治 (2001年 ノーベル化学賞受賞者)
小林 誠 (2008年 ノーベル物理学賞受賞者)
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資源の乏しい日本の生命線は科学技術力にある。
資源確保という死活問題のために日本は先の戦争に突入していった。
二度と戦争をしない日本から科学技術力が無くなれば、衰退しいずれ消滅するしか道はない。
ノーベル賞受賞者・フィールズ賞受賞者の声明にあるような感覚はそもそも日本の政治家が必ず持っていなければならない感覚ではないかと思う。
こう言っては失礼かもしれないが、共産党ですら持っている。
政権交代ごっこはもういいでしょう。
10年前と違って、今の日本の市場には余裕がありません。
民主党政権が暫く続けば日本は二度と立ち直れないかもしれません。
政権交代以降、日本一人負けが続く株式市況がそれを如実に表しているようです。
民主党は近眼だ、近いところしか見えません。科学技術開発のかねは経済の成長にかかわるところで、それと将来に対する投資だ。日本の長所と競争力はちょうどこれだ、これらの金を削減すれば、日本は遅れる方向をたどるしかない
投稿: | 2009年11月26日 (木) 09:31
民主党は近眼というよりも選挙しか見えていないのだと思います。
教育関係では学力テストを縮小を要求する反面、義務教育費国庫負担金については「教員の調査、報告事務を削減。国と地方のあり方の抜本的整理」とあきらかに票田である日教組を意識した結果になったことがそれを物語っています。
投稿: argument | 2009年11月26日 (木) 12:40