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ピアノ練習・上達の個人的アドバイス

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〜ピアノ上達の一般的コース〜
ここでは、ピアノを上達するために学習者が通る一般的道筋(コース)について説明したいと思います。 ここで言う「上達」とは、主に「技術的に難しい曲を演奏するのに必要な各種技術を習得すること」です。 本来、技術と音楽性は密接に結び付いていて、不可分の要素と言えますが、とりあえず、 ここでは便宜上、音楽性云々の議論は抜きにして考えます。

全音楽譜、ピアノピースのランク付けを例に挙げて考えてみると、一般に、初級(難易度A)、初級上(難易度B)、 中級(難易度C)、中級上(難易度D)、上級(難易度E)、上級上(難易度F)にランク分けされているのが 分かると思います。よほどの天才でない限り、いきなり中級の曲を弾くのは不可能なわけで、 まずは初級から地道に取り組んでいく必要があります。「千里の道も一歩から」、「ローマは一日にしてならず」 ですね。そこで、一般のピアノ学習者はどのようなコースで上級の曲を弾けるようになるのかを 一般論を交えながら説明したいと思います。 まずは、一般的な教材と難易度を示します。

0.導入期
1. バイエル100番練習曲(初級、難易度A)
2.ツェルニー100番練習曲(初級上、難易度B)、前半ブルグミュラー併用、後半からソナチネアルバムを併用
3.ツェルニー30番練習曲(中級、難易度C)、ソナチネアルバムを併用
4.ツェルニー40番練習曲(中級上、難易度D)、バッハ・インヴェンションとシンフォニア
5.ツェルニー50番練習曲(上級、難易度E)、モシュコフスキー15の練習曲、バッハ・平均律クラヴィーア曲集
6.(ツェルニー60番練習曲)、ショパン・エチュード(上級上、難易度F)

指の独立性獲得、強化メソッドとして有名なハノンは、大体バイエル終了直後から使われるのが 一般的のようです。ツェルニーの練習曲と併用して長い期間使われるため、上記の一覧には 書き加えませんでしたが、非常に大切な基礎訓練教材です。

こうしてみると、バイエル終了後は、ツェルニーの練習曲が練習の主軸になるのが分かると思います。 最初の関門のバイエルも、曲数にして実に100曲あり、意外に高い関門です。ピアノ学習者の最初の難関は 何と言ってもこのバイエルではないか、と思います。ここでの脱落者は結構多いという話です。

めでたくバイエルという第一関門を突破しても、次に待ち構えている関門、ツェルニー100番は、 さらに高く険しいです。曲数が多い上に、バイエルに比べて1曲1曲の負担は非常に大きなものとなります。 僕の場合、100曲中3分の2程度の曲は手を付けずに済んだから良いようなものの、100曲をまともに相手にしていたら、 ここで確実に脱落していただろうと今になって思うほどです。この曲を100曲全てまともに取り上げようとしている 指導者の方がいらっしゃったら、是非、ご一考をお願いしたい、と切に願います。 生徒さんのモチベーション維持のためにも、必要な曲だけをピックアップして、基礎が身についたと判断した時点で、 即座に、次のツェルニー30番に移るのが得策だと思います。 ここまで、ツェルニー100番を乗り切れる人は、ピアノを習い始めた人のおよそ20%程度ではないか、と 推測します。皆、ここで嫌になってしまってやめてしまうんですよね。

次のツェルニー30番に入ると、やっとここまで来たか、と山の中腹から下の世界を眺める、という心境になるのではないか、 と思います。1曲1曲は指定のテンポで弾くのが大変に なってきますが、赤帯から黄帯(これ、懐かしいですね)へ、本格派への第一歩を踏み出した実感が 大きくなってきます。中級まで来ると、実際に演奏可能な曲数がぐっと増えて、ピアノを弾くことが 楽しくなってきます。ここまで来れば、多少の優越感も入り混じって、一層やる気が沸いてくるのではないか、 と思います。難易度Cで弾けるショパンの曲も、ワルツを中心に(例えば3番、7番、9番)、 少しずつ増えて来ます。ここは、もう一頑張りすれば上級が目指せる位置なので、モチベーションの維持、向上の 点ではあまり心配は要らないと言えます。

ツェルニー40番に入ると、同じ学年でも指折りのピアノ弾きと言われるくらいに弾けるようになりますね。 ツェルニー30番に比べるとさらに1曲の長さも長くなり、難易度も高くなりますが、 究極の難曲はなく、練習すれば誰でも弾けるような曲が並んでいるので心配は必要ないと思います。 難易度は「中級上」ですが、指の運動神経の良い人なら、上級にも十分対応できる基礎技術は身についています。 このレベルになると、ショパンの幻想即興曲程度なら、あまり背伸びをせずに楽に弾けてしまう人も 出てきますし、場合によっては、革命のエチュードを弾くことも可能となります。 自信が自信を生み、ピアノを弾くことが大きな楽しみとなり、ピアノを弾くことこそ、自分の存在証明、 と言えるくらいの自負が生まれてくるのも、この辺りではないか、と思います。 もうここまで来れば、ピアノをやめる心配はなくなりますね。

ツェルニー50番は、ツェルニー40番に比べてさらに1曲の長さが長くなり、負担は増えますが、 ツェルニー練習曲の事実上の最後の総仕上げ的存在です。この後、ツェルニー60番を使う場合もありますが、 基本的には、このツェルニー50番までを一通りさらっておけば、ツェルニーの練習曲は胸を張って「卒業」と 言えると思います。但し、これをまともに仕上げるのが果たして投下労働力に対して相応の見返りがあるのか、 と聞かれると多少疑問と思われるのも事実で、ある程度指の基礎が出来ていると感じられれば、 この辺から、バッハの平均律クラヴィーア曲集やモシュコフスキー、ショパンのエチュードの易しい曲から 入っていくのも効果的ではないかと思います。音大受験対策を兼ねるのであれば、ベートーヴェンの ピアノソナタを1曲集中的に勉強するのも良いと思います。

というわけで、一通り、ピアノ上達の道筋を概観してみましたが、本当はここには書き切れないほどの 長く険しい道を歩んでいくことを半強制的に強いられることになります。それが嫌ならピアノは諦めなさい、 と言わんばかりです。長い修行を経て、ようやく一人前に弾けるようになる、でも上を目指せばきりがない、 そんな世界です。ピアノの世界というのは本当に奥が深いですね。 それが僕たちピアノ弾きの楽しみでもあるんですけどね。


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