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「イライラ連合会長」説得効かない長妻氏 社保庁職員分限免職問題
民主党最大の支持団体、日本労働組合総連合会(連合)が、来年1月発足の日本年金機構に雇用されない「懲戒処分歴のある社会保険庁職員」の扱いに、いらだちを募らせている。所管する長妻昭厚労相がタイムリミットが近づいているにもかかわらず、職員の最終的な処遇を明らかにしていないためだ。処分対象者には連合傘下の自治労系組合構成員が多く、古賀伸明会長が解決の陣頭指揮を執り、組織を挙げて政府への働きかけを強化している。(比護義則)
「『懲戒処分を受けた方の雇用確保をしていただきたい』と言った」
平野博文官房長官は25日の記者会見で、前日の長妻氏との会談内容についてこう述べ、社保庁職員が民間企業の解雇に当たる「分限免職」とならないよう要請したことを明らかにした。
年金記録ののぞき見などで懲戒処分を受けた組合員ら約300人の処遇に配慮を求めたものだが、省庁人事で、官房長官が調整に乗り出すのは異例だ。
「平野氏は古賀氏と同じパナソニック労組出身で気心の知れた仲。古賀氏の強い思いが働き、平野氏が懲戒処分者の再雇用に消極的な長妻氏に圧力をかけた」(政府関係者)との見方が広がっている。
連合では10月、会長に就任したばかりの古賀氏が、社保庁職員の再就職問題の解決に向け陣頭指揮を執ることを決定。以来「古賀マター」として扱われることになった。
新政権発足とともに政府側に、雇用問題を担当する菅直人副総理・国家戦略担当相、細川律夫厚労副大臣、平野氏ら「労組に理解のある人脈」(連合関係者)を通じて交渉を開始。党側にも働きかけて、原則論を貫こうとする長妻氏の説得に奔走してきた。
一方、長妻氏は軽い処分の一部職員を、厚労省の非常勤職員に採用する救済案の検討に入ったが、この案では、漏れる大半が「分限処分者」となるため、連合は「大量の分限処分者が出れば古賀氏の面目は丸つぶれになる」(産別労組幹部)とみている。
古賀氏は19日の記者会見で「私たちの意向は関係各位に伝え、推移を見守っている。そもそも分限処分は筋が通っていない」と政府への批判を強めた。労組側からは「次期参院選での選挙協力の士気にも影響がでる」(同)との声も出ており、政府は苦しい判断を迫られている。