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【社会】

首相の母、6年で36億円現金化 偽装献金問題

2009年11月25日 夕刊

 鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる政治資金収支報告書の虚偽記載問題で、首相の母親が2003〜08年の6年間に、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」が管理する自己名義の銀行口座から計約36億円を引き出していたことが関係者の話で分かった。東京地検特捜部は資金の一部が首相の政治資金に充てられた可能性もあるとみて、慎重に調べている。

 関係者によると、母親は自己名義の銀行口座から毎月、数千万円単位の出金を繰り返していた。手続きは六幸商会に依頼し、母親の元に現金が届けられているという。母親の生活費や入居施設の費用などはカード決済されているとされ、この資金を日常の出費に充てている可能性は少ないという。

 懇話会をめぐっては04〜08年の虚偽記載総額が3億円前後に上るとみられている。懇話会と首相の個人事務所の支出に対し、実際に受け取った寄付やパーティー収入と、鳩山首相が国会で認めた六幸商会からの引き出し額を合わせても、年間約1億円の収入が不足していたとされる。鳩山首相は衆参予算委員会で、偽装献金の原資が親族らから提供されていないかを問われ「私の知る範囲でそのようなものはない」と答弁している。

 鳩山首相の母親は大手タイヤメーカー「ブリヂストン」創業者の長女。同社の有価証券報告書によると、1991年には同社株約1200万株を保有。現在も同数を保有していれば時価150億円を超え、配当収入は最新実績で年約2億9000万円になる。母親は04年からの5年間、個人献金上限の150万円を懇話会に毎年寄付。首相が代表の民主党北海道第9区総支部にも同じ5年間で計600万円寄付している。

 母親から首相側に資金提供があった場合、贈与なら首相に贈与税の支払い義務が発生し、懇話会への寄付なら政治資金規正法の量的制限違反となる可能性がある。首相への貸付金であれば法的な問題は生じない。

 本紙の質問に母親は24日までに回答を寄せていない。鳩山首相事務所は弁護士を通じ「捜査中のためお答えを差し控えます」とコメントしている。

 

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