右巻き左巻き自由自在 貝の殻、方向操作に成功細胞分裂を始めたばかりの巻き貝の胚(受精卵)を操作して、自然状態での巻き方とは逆向きの殻を作らせることに東京大の黒田玲子教授(生物物理化学)らの研究グループが成功し、26日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。 体の構造が左右非対称となる生物は、通常は左側に心臓が位置する人間を含め数多い。黒田教授は「巻き貝の研究から、体の左右決定に関する幅広い知見が得られるだろう」と話している。 この巻き貝は、欧州原産で淡水にすむ体長2、3センチのヨーロッパモノアラガイ。右巻きタイプと左巻きタイプの両方がおり、母親の遺伝子によって子どもの殻の巻き方が決まる。 グループは、右巻きの場合は胚が2回目に細胞分裂する際、左巻きの場合は3回目の分裂後に、それぞれの方向にねじれ始めることに着目。極細のガラス棒を使い、さまざまなタイミングで細胞がねじれる本来の向きとは逆に力を加え、その後の成長を観察した。 その結果、右巻きか左巻きかにかかわらず、3回目の分裂で細胞が4個から8個になる最中に力が加わった胚は、本来のねじれとは逆向きに成長した。巻き方が逆になったこと以外は、まったく異常がなかったという。 【共同通信】
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