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「永遠に新しい自分を探求し続けたい」

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今回の来日は同時期に行われるフランス映画祭の団長を兼ねたものでもあるが、さらには最近刊行された彼女の詩画集「Portraits In-Eyes」のために描いた肖像画の個展も同時開催される予定だ。これまでに出演した全映画作品の監督たちを描き、一人ひとりに宛てた詩を添えた本書は、ビノシュという女優の内面を垣間見る貴重な機会でもある。そこではすべての肖像画が真正面を見据えて見る者と対峙し、その詩においては彼女が撮影中に感じた喜びも欲求不満も率直に吐露され、ビノシュという人物が真摯さと勇気を持つ人物であることが伺える。

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「自分をさらけ出す、自分を一部でも差し出す。それは確かに勇気の要ることだけど、私はいつしか、自分の中だけでは抑えきれない、外に向かう感性を身に付けてきたのだと思います。演技をするというのは自分と向き合うことでもあり、これまで私は作品、監督、そして役のおかげで自分の一面を発見することができました。けれど、人間は変わるもの。一度、自分を発見できたからと言って『自分はこういう人間だ』とそこにとどまるのではなく、永遠に新たな自分を探求しなくてはならないのです。時には裏切りにあったり、外的なつらい経験もあるでしょう。でもそれを通して成長できる。せっかく人間に生まれたのだから、私たちは一生懸命に生きるべきなのです。

この詩画集は、私の、これまでの仕事や監督たちへの個人的な思いから始まったものですが、こうして思い返すと、世の中の人々に対するメッセージだったような気もします。『みなさん、目を醒まして下さい。命がけで、生きて下さい』。そんな、ささやかな私の叫びを感じていただけたら嬉しいです」

ヘア:白坂春光/ヴィサージュクリエーション(ロレアル プロフェッショナル)
メイクアップ:YABU(ランコム)

松島 まり乃(まつしま・まりの)

シアタージャーナリスト、旅行作家

東京生まれ、慶應義塾大学文学部卒。出版社に入社、女性ファッション誌の編集者を経て、フリーランスに。執筆、編集のほかシンポジウムやイベントの司会なども手掛ける。著書に『アイルランド民話紀行』(集英社新書)など。

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