2009年11月26日0時4分
最近、ビジネスマンに会ってもかつてのような元気がない。社内の人間関係も暗い。これは公務員も同じで覇気をなくしている。
90年代からの長期停滞とグローバル化の進展の中で、企業は生き残りのリストラを余儀なくされてきた。その結果、所得格差の拡大、失業率の高止まり、派遣切りの増大など、いつの間にか我が国の経済社会は情けない事態になってしまった。働いても生活できないワーキングプアが増えてきている。今後の発展を図る上で大きな宿題を抱え込んでしまった。
こうした厳しい状況を打開していくには、まず最低賃金制度の改善である。07年に生活保護を下回っていた最低賃金の大幅引き上げを行ったが、それでも、日本の水準は欧米諸国に比べてまだまだ低い。
以前に地方の最低賃金審議会委員をしたことがある。審議会は中立の立場の学者、産業界代表、労働界代表が同数になるよう構成されている。産業側はできる限り低く抑えようとするし、労働側はその反対に引き上げを要求する。中立委員は事務局の立場をふまえて結論を出す。その結果、最低賃金は抑制気味に落ち着いてしまう。実質の生活費をベースに最低賃金を決める仕組みに運用を改善する必要があるだろう。
また、転職が容易になる柔軟な社会構造への転換が必要ではないか。民間で働いていたものが、公務員として働く。その逆もあっていい。転職をあまり評価しない社会風土を改めていく必要がある。もちろん、日本的経営を再構築して、働くものが生き生きする集団へ変える経営努力も必要である。ビジネスマンが輝く社会になれば、今の閉塞(へいそく)感から脱却できると考える。(共生)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。