名古屋市の繁華街で今週に入って、女性を狙ったひったくりの被害が相次いでいます。そこで愛知県警が奥の手です。果たして、成果は・・・。
慣れた手つきで髪をブローする若手警察官。勤務を終えたのか、仲間と一緒に身支度を整えています。何だか違和感を覚えるのは、気のせいでしょうか。
(仕上がりは?)
「80点」「100点」(警察官)
実はこの2人、ひったくり犯を逮捕するために夜間パトロールを行う女性警察官、いや、「女装警察官」なのです。顔を見たい気もしますが、そこは捜査に支障をきたすということでNG。ですが、一般の男性からはナンパされることもあると言います。
「酔っ払った男性に声をかけられたこともある」(中警察署生活安全課 小笠原茂彦課長代理)
選ばれた基準は、ズバリ「華奢な体型」。しかし、見た目とは裏腹に1人は剣道初段、もう1人は柔道初段の猛者です。
一体、なぜ女装なのでしょうか。名古屋市内では23日から24日にかけ、ひったくり事件が10件発生しました。深夜に帰宅する若い飲食店の従業員が狙われているため、女装警察官による、いわばおとり作戦に打って出たのです。
「昨年と比べ10月末現在で53件増えている。なんとかひったくりを抑止するために、被害者は女性が多いということで、この作戦を考えた」(中警察署生活安全課 小笠原茂彦課長代理)
ひったくり犯の多くは被害者の後ろから近づき、バッグを奪って逃げます。このため、被害者は犯人の特徴をはっきりと覚えていないケースが多く、なかなか逮捕に結びつかないのが現状です。最も有効なのが現行犯逮捕なのです。
「やるからには捕まえる」「必ず犯人を検挙したい」(女装警察官)
この日、深夜0時過ぎに出勤した2人の女装警察官。周辺にも密かに複数の警察官を配置させ、犯人を一網打尽にする計画に出ました。果たして、その成果は・・・。
「残念ながら、ひったくりの被疑者には遭遇していない。遠目から見て女性だと思われるので、必ず成功すると思う」(中警察署生活安全課 小笠原茂彦課長代理)
女装警察官はこれまで7回パトロールに出ていますが、逮捕実績はゼロです。彼ら、いや彼女らの捜査は続きます。(25日19:08)