サブカテゴリー

研究者「目先の節約より、日本の知的財産守れ」

事業仕分けによる科学技術予算の厳しい判定に対し、記者会見で緊急声明を発表するノーベル賞受賞者ら。左から利根川進、森重文、野依良治氏
事業仕分けによる科学技術予算の厳しい判定に対し、記者会見で緊急声明を発表するノーベル賞受賞者ら。左から利根川進、森重文、野依良治氏
Photo By 共同

 行政刷新会議の事業仕分けで、科学技術予算に削減や見直しが相次いだことに対して25日、ノーベル賞受賞者ら日本を代表する研究者が記者会見し「科学全体の問題」「見識を欠く」など厳しい言葉で批判した。一方、鳩山由紀夫首相は科学技術予算への厳しい判定に関し「研究開発は日本の大きな知的財産だ」などと述べ、判定見直しにあらためて理解を示した。

 ノーベル賞に輝いた江崎玲於奈、利根川進、野依良治、小林誠の各氏と、フィールズ賞受賞の森重文氏は東京大で会見。「若者を学術・科学技術から遠ざけ、海外流出を引き起こす」との声明を発表した。

 小林氏は「各事業にとどまらず、科学全体がどうなるかの問題。(鳩山)政権の目指す“科学技術で世界をリードする”こととの整合性が理解できない」と強調。利根川氏は「オバマ米大統領は経済状況が悪い今こそ科学技術に投資すると表明した。“スーパーコンピューターが世界一である必要はない”と言った人がいるが(1位を)目指さなければ2位、3位にもなれない」と苦言を呈した。

 野依氏は「予算を減らすのは論外。むしろ倍増しなければ」と力説。同日午前の文部科学省調査会でも「科学技術はコストではなく将来への投資。一緒くたの仕分けは見識を欠く」と批判し、予算凍結の判定となったスパコン開発については「科学技術の頭脳に当たる部分。仕分け人は将来の歴史法廷に立つ覚悟があるのかと問いたい」と声を荒らげた。

 一方、新型万能細胞(iPS細胞)を開発した京都大の山中伸弥教授も25日の記者会見で「もともと、ほかの先進国に比べて科学研究費の割合が少ない。これから日本はどうなってしまうのか心配だ」と怒りを込めた。

 100万〜200万円単位の科学研究費補助金を受けて研究を始めたという山中教授は「使い方に改善の余地はあると思うが、日本が科学の発展途上国にならないよう、政府にも理解願いたい」と訴えた。

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2009年11月26日 ]

関連ニュース

読み込み中..

PR

関連写真

読み込み中..

注目アイテム

ニュース

クイックアクセス
スペシャルコンテンツ

このページの先頭に戻る ▲