テレビのデジタル放送のコピーを10回までに制限する「ダビング10」などを解除できるソフトを販売したとして、愛媛県警は25日、大手電機メーカー東芝社員の増村哲哉容疑者(39)=長野県佐久市岩村田=を著作権法違反の疑いで逮捕した。県警によると、ダビング10を解除する違法ソフトの摘発は全国で初めて。
県警によると、増村容疑者は昨年10月17日ごろ、インターネットオークションを通じて松山市の大学生の男性(19)にダビング10などを解除するソフトをインターネットからダウンロードさせて650円で販売したほか、同22日ごろにも茨城県結城市の会社員男性(28)に宅配便で同ソフトを送って850円で販売した疑いが持たれている。
増村容疑者は「小遣い稼ぎのために販売した。ソフトは自分で開発したものではない」と話しているといい、県警は今後、ソフトの入手先を調べる。
東芝広報室によると、増村容疑者は佐久工場(佐久市)に勤務する技術者で、充電式電池の開発・設計を担当しているという。
県警のサイバー犯罪対策室が昨年12月、インターネットオークションでダビング10の解除ソフトが販売されているのを発見。ソフトを販売していた松山市の大学生を任意で調べたところ、増村容疑者から購入したことを認めたという。県警は増村容疑者が少なくとも昨年1月〜12月にこのソフトをネットオークションを通じて22都道府県の712人に計49万3千円で販売したとみている。
県警は、増村容疑者からソフトを購入した松山市の大学生も08年10月〜09年2月に22都道府県の240人にこのソフトを計14万5千円で販売したとみて同容疑で書類送検する方針。
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〈ダビング10〉 デジタル放送は高画質で繰り返しコピーできることから、コンテンツを保護するため、昨年7月から始まった。ハードディスク(HDD)内蔵レコーダーなどに録画した地上、BSデジタル放送の番組について、DVDやブルーレイディスク(BD)へのコピー回数を計10回に制限する仕組みで、10回目のコピーをした時点でレコーダー内のデータは消える。コピーデータからの再コピーはできない。当初はコピー回数が1回だけに制限されていたが、「使い勝手が悪い」という消費者団体などからの指摘を受け、総務省の情報通信審議会などが運用ルールをつくった。