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発信箱:ああブーメラン=与良正男(論説室)

 野党時代の民主党はよく、「ブーメラン政党」とからかわれたものだ。政府・与党を批判しても、その批判がブーメランのように自分に返ってくるという意味。

 例えば04年春、当時の代表、菅直人氏は与党政治家の年金未納問題を「未納3兄弟」と厳しく追及していたが、その後、自身の年金未加入が発覚し、代表を辞任した。実際には社会保険庁側のミスだったと後に判明するが、党には大打撃だった。

 さて、政権交代後の国会はブーメラン合戦の様相だ。民主党の強行採決を自民党は「数の横暴」と批判するが、強行採決を何十年も連発していたのは誰だったのか。民主党も「自民党の審議拒否」をなじるが、野党の時は審議拒否は得意技だった。

 どっちもどっち。でも、こうした非難合戦があまりに非生産的だということは与野党ともに既に承知のはずだ。

 何度も書いているように政権交代は国会も変わるチャンスだ。与野党が議論の中身で競うのではなく、どうしても国会の会期切れをにらんだ日程闘争になるというのなら、まず細切れに会期を設定している今の仕組みを改め、年中、国会を開くようルールを変えたらいいではないか。

 「国会より行政刷新会議の事業仕分けを見ていた方がよっぽど面白い」という声をいろいろなところで聞く。鳩山内閣が6割以上の支持率を維持しているのは「仕分け効果」が大きいのだろう。画期的な試みだと私も思う。

 だが、忘れてはいけない。予算を厳しくチェックするのは本来、国会の重要な役割ではなかったか。仕分け作業が脚光を浴びるのは、これまで国会がきちんと仕事をしてこなかったからでもある。

毎日新聞 2009年11月26日 0時07分

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