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来年度予算の無駄を洗い出す政府の行政刷新会議による事業仕分けが進められています。
賛否両論がある中、「廃止」と判定されたある事業の現場を取材しました。
黒部市宇奈月温泉にある、宇奈月若者自立塾です。
若者自立塾は生活訓練や就労体験を通じて、ニートや引きこもりの若者の社会参加を支援する厚生労働省の事業で平成17年に始まりました。
全国に28か所ある施設のひとつで、現在、3ヶ月コースと6ヶ月コースの訓練生あわせて8人が共同生活をおくっています。
この若者自立塾が、行政刷新会議による事業仕分けで、効果の検証や実績がきっちりと把握できていないのでやり方を含め、一旦廃止して徹底的に見直すべきとされました。
牟田寮長「廃止というふうに言われて、「えぇー!っと、何で?どうなったの?」という風なのが感想です/ここまでやってきてまあ、「えぇ?」という本当に驚きですね。」
国からは現在、施設に対して、塾生一人当たり月およそ9万円の訓練費が支給されています。
廃止が決まれば、来年度からはこの補助がなくなることになります。
訓練費だけでは運営できないため、施設では塾生から生活費などとして月最大で10万円を徴収しています。
「訓練費が打ち切られたらその分のいわゆる事業経費が減りますんで、値上げせざるを得ない、値上げをすると、そういった低所得者、生活保護世帯が、入塾できなくなってくる、そういう人たちを完全に見捨ててしまうことになる、我々としても苦しいけども、経済的に見捨てざるを得ないというと、何、すごく、この塾の存在意義というものが問われますし、我々としての存在意義は問われるんです、かといってそういう人たちたくさん受け入れて自分ら潰れるわけにもいかないっていうところが最大の悩みですね、はい。」
この施設では開設以来、およそ100人が卒業して、就労率はおよそ7割に上りますが、全国の自立塾全体では、就労率はおよそ6割とされています。
しかし、卒業後、学校に通い始めた人や発達障害を抱えていてすぐに仕事が見つからない人などが含まれておらず、成果として数字に現れにくい部分があるといいます。
「まだ就労にはいたらないけれど前段階の形で頑張っているという人たちもかなりの人数いるんですね、そういった数字が全く問われなかったというのが残念ですし」
自立塾では、食事も、その週の当番が中心になって、みんなで準備をします。
宿泊型のため、様々な人との関わる日々の暮らしのなかで、自立を目指します。
現在、自立塾には、塾生以外にも塾の卒業生17人が生活しています。
塾のOB「本当にショックですね、すごく私は自立塾に救われましたんで、はい、本当にショックです、今後その制度を利用することができなくなるってことは、本当に、かつて私が陥っていたような状況に、そういう人たちがいっぱいいるので」
事業仕分けに法的拘束力はありませんが、廃止判定がでたあと、厚生労働省からの通達で、自立塾では6ヶ月の訓練コースの新規受け入れを中止しています。
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