「WBA世界フライ級タイトルマッチ」(29日、さいたまスーパーアリーナ)
挑戦者・亀田興毅(亀田)が驚異の脈拍数を記録した。24日、都内で予備検診が行われ、亀田は1分間に40回の脈拍数を記録。世界トップレベルのマラソンランナー並みで、ボクサーとしては驚異的な数字をたたき出した。旺盛なスタミナを数値で証明した一方で、フライ級では規格外の肉体を披露。視力に不安を残した以外、万全を強調してV6を誓う王者・内藤大助(宮田)に、興毅が肉体面で圧勝した。
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ボクサーとしての限度を超えるほどの数字だった。興毅が記録した脈拍数は1分間に40回。診察にあたった前川武雄コミッションドクターは「40はかなり少ない数字。異常ではないですが…。スタミナを使うマラソン選手とかに見られます」と驚きを隠さなかった。
心拍数はスタミナの有無に直結する。一般の男性で1分間に60〜70回程度とされ、持久力のあるスポーツ選手はさらに低い数字となる。00年シドニー五輪の女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんは30回から35回程度で、興毅の40回はマラソンランナー並みの持久力を表す。
標高2000メートルを超えるメキシコシティーでの高地トレーニングを度重ねてきた成果でもある。世界に初挑戦した06年7月の脈拍数は49回、同年12月の初防衛戦の時は46回だった。数字はメキシコ合宿を行う以前のもので、当地での合宿が恒例になってから持久力が飛躍的についた。
肉体もフライ級では規格外だった。胸囲は06年12月の91・5センチから3・5センチ増え、内藤の83・6センチを11・4センチ上回る95センチ。胸の厚さも2・5センチ上回った。唯一、内藤を下回ったのはリーチだけ。体脂肪率5%のスーパーボディーで王者を圧倒した。
驚異的な心拍数に、興毅は「病気なんとちゃいます?」とおどけてみせた。一方で、「数字は関係ない。リングに上がって強いほうが勝つんやから。プレッシャーには慣れてるし、あとはリングに上がって結果を出すだけ」と平然と言ってのけた後の不敵な笑みが、自信のほどを物語っていた。