Joe's Labo
城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・
 



26日(木)のテレ東WBSにインタビューにて出演予定なので報告。
テーマは“同一労働同一賃金”だ。
先の選挙では、自民を除く主要5党が掲げていたから、おぼえている人も多いだろう。
だが、絶対に実現しないマニフェストでもある。
非正規雇用労働者と正社員が並存している企業は、大きく分けると2種類ある。

(1)大手製造業のように、業務を明確に切り分けているタイプ

最初から切り捨て可能な単純作業に特化させているので、そもそも同一労働と
なる余地がない。「同一価値じゃないんです」と労組と会社に主張されれば、
何も変わらない。※

(2)正規、非正規が混在する事務系の職場

実際に仕事内容が非正規≧正規となっているケースも少なくない。

ここではとりあえず、同一労働同一賃金の成立余地のある(2)について述べたい。

成立余地があるといっても、一つ大きな問題がある。
正社員のいったい誰に合わせるのかという基準がないのだ。
20代と50歳、さらには男女によっても、同じ正社員とはいえ大きな格差が存在する
のが日本型雇用である。
 
結局、その前に「担当する職務グレードに値札をつける仕分け作業」が必要となり
「〜さんは貰いすぎ」「〜さんは給料安すぎ」という現実をはっきりさせないと
いけない。もちろん、一定の原資の中から非正規側に再分配するわけだから、貰い
すぎ正社員の賃下げは不可欠だ。
要するに、本気で同一労働同一賃金を実現しようと思ったら、
職務給の導入と処遇の流動化が不可欠ということだ。

そしてそのことは、連合を支持基盤とする民主党や社民党には、絶対に実現不可能
な話だろう。

そういう意味では、選挙前に出演したサンプロは、実に奇怪な空間だった。
5党の代表たちは「同一労働同一賃金の達成!」「格差の是正!」なんて聞こえの
いいことは主張しつつ、誰一人として労働市場の流動化には賛成しないのだ。
よっぽど頭が悪いか、そもそも真面目に考えてないんじゃないか。
「格差是正って響きがいいし、既得権とも関係無さそうだし、うちも入れとくか」
くらいの感覚なんだろう。
こういうのをマニフェスト詐欺というのだ。※2

というわけで、鳩山政権の下では「雇用における格差」という問題は一向に片付かない。
格差是正に期待して民主党を支持した人たちは、お上の都合で派遣-請負-パートという
具合に非正規内部をグルグル回されるという、なんとも夢の無い状況になりそうだ。

長妻さんは知らないけど、少なくとも雇用問題担当の議員は、この程度のことは
よく知っているはず。思い出したように「農業や医療に移す」と言い出したのは、
彼らの政策の先にあんまりにも希望が無いので、風呂敷を広げて見せているだけだろう。
ビジョンというよりは先送りである。

あ、でも非正規雇用を規制で減らして、農業や医療に回せば、ある意味で
「同一労働同一賃金の達成&非正規雇用比率の抑制」かもしれない。
公約違反にはならないかな。


※ (1)については、流動化すれば切り分ける必要がなくなるので、自然消滅していくはず。

※2 「同一労働同一賃金って共産主義のことですか?」と真顔で聞いてきた自民党は論外




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