11月の朝雲ニュース

11/12日付

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戦闘機懇談会
空幕などが事例説明
技術喪失の影響深刻

 第5回「戦闘機の生産技術基盤のあり方に関する懇談会」(座長・岩井審議官)が11月5日、防衛省で開かれ、戦闘機生産の中断により技術・技能の喪失・低下が運用支援に与える影響や将来の戦闘機研究開発に与える影響などについて、空幕と経理装備局の説明を受けた。
  空幕からは国内生産技術基盤が戦闘機運用支援に果たしてきた事例説明などが行われた。戦闘機運用支援では@戦闘機の高可動率の維持A戦闘機の能力向上B安全性の確保――の3点を例示。
  高可動率の維持では、F15の不具合などで部隊の修理や整備などマニュアルの範囲を超える事象が発生した場合、国内会社に技術質問を行うが、会社の技術部門だけでは解決できない問題でも製造の経験があり構造を熟知した熟練工の助言で解決した例など修理技術での支援。
  また、レーダーなどアビオニクス機器関連では、部品の生産中止が発生すると代替部品を使用するためのハードウエアの設計変更が必要となるが、国内の保有技術で設計変更を行い、部品の生産中止による可動率の低下を防いだことなど。
  戦闘機の能力向上では、F2への国産中距離ミサイルの搭載で、国内のシステムインテグレーション技術を生かし、AAM4の搭載を可能にし、限られたスペースにミサイル指令送信装置を搭載するなどの能力向上を果たした。
  安全性の確保では、F15エンジンのタービンブレードの点検要領・間隔の設定で成果があったことを説明。タービンブレードが飛散する不具合が発生した際、国内で培われた独自技術で点検要領、点検間隔を設定、米国のような部品の一斉交換もなく安全性を確保しつつ、高い可動率を維持した。
  経理装備局からは将来戦闘機と科学技術との関連や主要技術、生産中断によりレベルが低下する技術・技能などの説明が行われた。
  レベルが低下する技術・技能の例として、システムインテグレーション技術をはじめ、ステルス技術の外形形状技術や武器内装化技術、アビオニクス技術、高運動性技術など主要な技術のすべてを挙げている。