戦闘機あり方懇
増加する撤退企業 業界団体、危機感表明
第3回「戦闘機の生産技術基盤のあり方に関する懇談会」(座長・岩井審議官)が9月16日、防衛省で開かれ、戦闘機用エンジンやアビオニクスの生産技術基盤の概況などについて日本航空宇宙工業会から説明を受けた。
戦闘機用エンジンでは、F2戦闘機用のF110エンジンが平成23年5月に出荷後は新造がゼロになること、製造終了に伴い戦闘機用エンジン関連の生産技術者数が減少するほか、材料、部品、補機、ベアリングなどの下請け企業が防衛関連事業から撤退もしくは撤退を検討している企業が増加していることも報告された。戦闘機用エンジンは、これら下請け企業の特殊技術や特殊設備を有した特定の会社に依存する製品、技術が多い。
戦闘機用エンジンの生産中断による設計技術者の減少、喪失などに伴い、部隊運用支援能力の低下や有事における緊急増産への対応が不可能になること、新機種のライセンス国産能力の低下、新規開発能力の低下を招くことが懸念されている。
一方、アビオニクスについても、戦闘機用レーダー生産終了に伴う問題点として生産技術基盤維持の困難性が指摘された。戦闘機用レーダーは地上レーダー、衛星搭載レーダー、民生レーダーなどにない特有、最先端の技術を必要としており、他事業による技術維持は不可能。また、機体と異なり定期整備がないため、開発計画がない中で、維持整備事業のみでの技術者維持は困難としている。